We Can Work It Out ポールのポジティブソング
今回はnoteライター、春木未波さまのリクエストにお応えします。
ポールが婚約者だったジェーンとの関係をモチーフとして歌っている。
We Can Work It Outの「We」はポールとジェーンの事。
ポールは自身の心境を歌詞にすることが多い。特に苦境に陥った時にその傾向が強まるようだ。インタビューでも「曲作りは自分にとっての癒しでもある」と述べている。
ポールにはジェーンのように都会的で上流階級の家庭で育ったエレガントで落ち着いた女性への憧れがあったようだ。
近代国家でありながら、イギリスは未だに階級社会であり、階級は大まかに上流階級、中流階級、労働者階級に分かれている。階級の違いは様々な面で現れるが、分かりやすく身近なのは買い物をする場所。特に決まりは無いが、階級によって普段利用するスーパーマーケットが異なるらしい。
ビートルズのメンバーはみな労働者階級の生まれだった。
ジョンは解散後そんなイギリス社会を「ワーキングクラス・ヒーロー」にて痛烈な歌詞で皮肉っている。👇
君が生まれると直ぐ 連中は自分なんて無力だと思わせる
考える時間なんて全く与えない
最後には苦痛が大きすぎて 何も感じられなくなるのさ~ ♬
ポールとジェーンは婚約後わずか半年で破局を迎える。原因はポールの浮気とされているが、双方の考え方の違いも大きかったのではないか。
ポールは子供の多い大家族を望んでいたが、ジェーンは仕事である女優業を続けたい。その点、リンダは農場で働き、自然の中での子育てを望んだ。
結局のところ、ポールはリンダと結婚する。
後にポールはリンダと離れて夜を明かしたのは、後にも先にも1980年1月に大麻不法所持にて日本で収監された時だけと述懐している。仲睦まじい事この上ない。
もし、ポールがリンダと結婚していなかったら、リンダのいないウイングスになっていた。今となっては想像し難い。
曲の解説に戻ります。
ポールはWe can work it out,(僕らならうまくやれる)とポジティブで楽観的に歌う。
そしてジョンのアイデアでサビ部分ではLife is very short, and there's no time For fussing and fighting, my friend(人生はとても短いから、争ったりなんかして、問題を起こしている暇なんてない)と歌う。
ポールの前向きでポジティブな歌詞と、ジョンの少しせっかちな対比的な歌詞が印象的である。陰と陽、YESとNO、太陽と北風。
ポールとジョンのこういった融合、コントラストがビートルズの魅力につながっているようにも思える。
また、サビ部分をワルツのリズムにしたのはジョージのアイデア。ここでもジョージは良い仕事をしている。そして自らタンバリンを叩きリズムを強調する。
PVではジョンがオルガンを弾いている。この頃のジョンは太っており、自身も「太ったエルビス時代」と振り返っている。ストレス太りだったのだろうか?
ポール作曲「We Can Work It Out」とジョン作曲「Day Tripper」のどちらをシングルA面曲とするかの議論がレコード会社EMIで行われた。
「We Can Work It Out」の方が商業的だとする多数派の意見に対して、ジョンは「Day Tripper」を頑なに主張。結果、史上初の両A面のシングルとして発売される事となった。
当時、ジョンがライブでトレードマーク的に使っていたギター、リッケンバッカーに貼られたセットリスト。
よく見ると、「WORK IT OUT」と「TRIPRER」の文字が確認できる。
A面争いはあったが、どちらもライブには欠かせない大切な曲だったのだろう。
【あとがき】
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