懐かしさという中毒

26才の夏休み僕はかけらをただ拾い集めてる
26才の夏休み僕はかけらをただ拾い集めてる
26才の夏休みひとり懐かしさを拾い集めてる

「神聖かまってちゃん」というロックバンドの「26才の夏休み」という曲の歌詞である。
今年の6月で26才になる。最近この曲をやたらと聴いている。

今の職場に転職して初めての夏になるが,今年は平日の3日間を夏季休暇として取得することになるらしい。上から読んでも下から読んでも短すぎるが,それはさておき,26才の独身男性が三日休みをもらったところで何もすることがない。ただ虚空を見つめて三日間を過ごすことになる。さりとて仕事はしたくないので,休みはきっちり取得するのだが。

手持ち無沙汰な独身男性が休日に何をするか,「ひとり懐かしさを拾い集め」るのだ。
卒業アルバム,LINEのトーク履歴,昔の手帳,同級生のTwitterのアカウントetc…。今後の糧になる思い出があるわけでもない。むしろ,学生時代友人はおらず,とかく思い出したくない過去で満ち溢れている。自傷行為に近いのかもしれない。

最近,2000連休を与えられた人の本を読んだ。

「最近,やたらと昔のことを思い出す。過去のさまざまな記憶の断片が脈絡なく飛び出してくる。そのたびに感情が揺れ動く。日常から刺激が消えたからだろうか。脳が無理やりに刺激を作り出そうとしているのだろうか。どうでもいいことを次々と思い出す。」

「人は2000連休を与えられるとどうなるのか?」上田啓太

日常に刺激がなくなると,どうやら過去の記憶に刺激を求めだすようになるらしい。そうなのかもしれない。社会人としては4年目,仕事は同じことの繰り返し,休日も睡眠とYouTubeで一日が終わる。生きてることの理由など死を避ける以外にない。そうなると,過去の記憶に対して中毒的に依存するようになるのだろうか。



いけないな 何にも感じなくなってきた
だから僕 外に出て傷つけにいこうかな
なんていけないな 何にも感じなくなってきちゃ
だから今外に出て切なくなりにいこうぜ

結局,の子は外に出ていく。2000連休を与えられた人も,最終的には連休に終止符を打っている。
自分はどうだろうか。3か月もこの記事の存在を覚えていたら,そのタイミングで答え合わせをしてみようか。どうせまだ過去の記憶に溺れているような気がするが。

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