国民民主党の博打に見せかけた妙手
国民民主党が2022年度の政府提出の予算案に対して、賛成した。トリガー条項凍結解除を行うことを前提にしていることが大切である。このことにより、賛否両論が話題になっている。
国民民主が本予算案に異例の賛成 野党に戸惑いの声 - 産経ニュース https://www.sankei.com/article/20220221-DQWAF5RA2JNWFL5LTWCH6PCVMU/
私は賛成派である。
かと言って反対派の理屈も分からなくない。
行政は予算が無いと動かない。全て予算による裏付けがあって動ける。つまり政府の意思は予算なのだ。
それに賛成するというのは政府側に行くと見られても仕方ない。
しかし、自分の仕事に置き換えてみるとそうは言えないなと思っている。
会社の方針、室長や部長の方針、命令について、納得いかないと言って従わないと出来るだろうか?
従わないとならない。で、その中で自分の考え方を入れるには方針や命令の中に自分の考えを織り込むしか無い。現実のデータを示したり、案を提示したり、現場の声を教えて、他課も含めた色んな人を巻き込んでやる。
単に従わないとしても何にも動かないのだ。
方針命令に従う、その上で少しでも自分の考えを織り込む、これは労働者が日々やっていることだ。
また、自分がやりたい業務がある場合、交換条件としてその業務に関わる人間が欲していることをすることで取引として自分のやりたいことをやらせてもらう。そういうことをすることはないだろうか?
与党と野党の関係は上司と部下、会社と労働者、会社内の課や労働者同士の人間関係とは違う!と反論されるだろう。しかし、議会が多数決で決まるという現実からするに力の違いがある。また、連合という労働組合を支持母体とする国民民主党が労働者が日々行なっているやり方に多少強引かもしれないが引き寄せてやるのは、間違えではないし、どうせ多数決で結果が決まっている中で何が何でも自分達の要求を通すための奇策を打ったのは悪い印象を与えないと思う。むしろ、好印象であるとすら思う。
で、今回の国民民主党執行役員会という国民民主党の意思決定の場での予算案への賛同に対する賛否
賛成 玉木さん、大塚さん、榛葉さん、岸本さん、舟山さん、古川さん、伊藤さん
反対 前原さん、小林さん
だったそうだ。
参議院の今回改選の舟山さん、伊藤さんが賛成側の辺りにやはりそれなりの根拠を玉木さんが提示したんじゃないかと思う。また、国対委員長の古川さんは代議士会で「『ゆ党』と言われてもいいではないか。政策を実現し参院選へ向かっていこう」と発言したことからも、国対レベルでも自民党側からトリガー条項凍結解除に向かう感触を感じたのでは無いかと想像できる。
トリガー条項凍結解除が行われれば、国民民主党の手柄になる。
トリガー条項凍結解除が行われなければ、国民民主党は異例な対応を行い、岸田首相も玉木さんとの裏での話し合いでは解除の話をしていたらしいのにおかしいと騒げる。これによって政府与党に対して攻撃できるし、騙されたと被害者ぶることもできる。玉木さんがトリガー条項凍結解除をさせられなかったと代表を辞任するという手すらある。これにより話題と同情を集めることもできるのでは無いかと思うし、聞く力をイメージしている岸田政権の印象を悪くさせられるだろう。
まあつまりトリガー条項凍結解除になる方が良いのだが、解除にならなくても打つ手があるのだ。
何より政府予算案に賛同するということで話題になり、既存の野党とは違うことを示せたのが大きい。このことで与党に違和感を抱いてはいるが、野党の非現実的な路線、何でも反対しているイメージからやむおえず与党に入れている層に対して、国民民主党という選択肢があることを示せたと思う。
夏に行われる参議院選挙。
比例では4名(内、電力総連の小林さん→竹詰さんに変わる)、選挙区では3名が改選だ。
比例では400万以上取らないと議席を減らし、更に組織内議員を取れないとなると今後組織的支援が弱くなり、立憲との合流論も出てくることが想像できる。つまり負けだ。400万票を取りに行くために賭けに出た部分もあるだろう。
また衆議院選挙では市民連合の呼びかけに応じず独自路線を取り、茨城、長崎と1年生議員がいるにも関わらず共産党に対立候補を立てられながらも勝ち切った。今回、選挙区で苦戦するかもしれないが、衆議院選挙の時のように独自路線に立ち、重点支援に入ること勝てるシナリオがあるのかもしれないと思っている。
政府予算案に賛同するという博打を打った国民民主党。
しかしそれは博打ではなくそれなりに考えられた妙手なのかもしれない。
国民民主党の支持者として博打、妙手が上手くいくことを強く強く願っている。
給料が上がる経済、労働の端くれと何としても実現してほしい。そのためは国民民主党が強い政党、そりなりの数を有する議席を持たなければならないのだから。