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あなたおすすめの夜景が想像以上に綺麗だったから


18時59分、展望台に登って夜景を見た。

帰りの新幹線は19時47分。25分以上も滞在できる。最初はこのくらいの気持ちだった。





あなたおすすめの夜景は

想像以上に綺麗だった。
想像の倍以上綺麗だった。





あまりにも綺麗すぎて


なんだか胸が苦しくなった。
ご飯の食べ過ぎでお腹はずっと苦しかったけど


泣きたくなった。
涙は出なかったけど


彼に電話したくなった。
流石にキャラじゃないかって思ってかけなかったけど






うそ





かけた。


19時25分に地上に降りようと思ってて、
気づいたら19時15分、今かけなかったらもうかけられないって思った。



かける前に、シミュレーション。



まずは夜景が綺麗だよってこと伝えて、
展望台を勧めてくれてありがとうって伝えて、
ご飯一緒に行ってくれたこともありがとうって伝えて、
まだあなたのことが好きって伝えて、
またあなたに会いに名古屋に行ってもいい?って、、


けど、疑問文にしたら嫌な答えが返ってくる気がした。



困るって言われたら嫌だって思った。
だめって言われても会いに行きたいって思ってしまうと思った。



だから、


私の気持ちだけ伝えることにした。



まずは夜景が綺麗だよってこと伝えて、
展望台を勧めてくれてありがとうって伝えて、
ご飯一緒に行ってくれたこともありがとうって伝えて、
まだあなたのことが好きって伝えて、
またあなたに会いに名古屋に行くね。で締める。

これでいこう。


今まで彼と話すときに想定通りに話が進んだことはなかったけど、ここまで決めとかないと言葉が出なくなっちゃうって思った。



19時18分
彼の家があるであろう方向の夜景を見ながらLINEで彼の名前を探す。
私が最後に送ったトークルームを開く。
通話ボタンをトンっと押す。


何コールなったかはわかんないけど、もう出なければ良いのにって思うくらいには待った。


もしもし?

私の好きな彼の低い声


シミュレーション通り、

あ、聞こえる?
めちゃくちゃ綺麗だよ!見れてよかったありがとう。
ーよかった
ご飯も一緒に行ってくれてありがとう
ーいえいえ
あのさ



あのさ
私まだあなたのことが好きなのね。
だからまたあなたに会いに名古屋に行くね。
ーわかった




言った、シミュレーション通り。

これは俺、なんて答えたら良いやつ?


これも想定してた。

だから

あなたが答えなくて良いように「?」付けなかったんだよ
ーそっか、わかった
うん、じゃあまたね、ありがとう
ーうんバイバイ
バイバーイ


たった1分の電話。





涙が出た。
止まらない涙ではなかったけど。
出てほしくない涙だった。




なんの涙かはわからないけどちゃんと考えたらわかる涙だった。





これまでの経験から、絶対にうまくいかないってことがわかってる。
そういう涙。


私がずっとわからないふりしてる。
そういう涙。











たぶん、伝えないほうがよかった。


だって

彼は私のことを恋愛対象として見てないから。

1人の女の子として好きじゃないから。


それでも伝えたくなったのはほんと自己満足。



自己満足で伝えたはずなのに胸を張って満足!って言えない

へんなの、








もうやめよう、彼のことは諦めよう

去年から何回こう思ったかわかんない。




有言実行タイプじゃなくて

言って達成できたことは少なくて




だから



これからもずっと好きでいる!!


くらいでちょうど良いかも。



あなたおすすめの夜景が想像以上に綺麗だったから

胸が苦しくなった。



あなたおすすめの夜景が想像以上に綺麗だったから

あなたへの想いが溢れてしまった。



あなたおすすめの夜景が想像以上に綺麗だったから

このタイミングを逃すわけにはいかないと思った。



あなたおすすめの夜景が想像以上に綺麗だったから

あなたに気持ちを伝えずにはいられなくなった。



あなたおすすめの夜景が想像以上に綺麗だったから

あなたからの返事を聞くのが怖かった。



あなたおすすめの夜景が想像以上に綺麗だったから

あなたのことを好きでい続けるのはやめようと思った。



あなたおすすめの夜景が想像以上に綺麗だったから

これからずっとあなたのことを好きでいようと思った。






この話はフィクションです。

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