ハイデルベルク(Heidelberg)へ②【ウィーン留学記】
はじめに
7月のなかば、ドイツへ行ってきた。ハイデルベルクに1週間、そしてミュンヘンに移動して2日滞在という、9泊10日の旅。目的地はハイデルベルク大学。知り合いの先生から、ぜひどうぞ、とお誘いいただき、授業やワークショップへ参加してきた。
先週は、ドイツへの旅、ハイデルベルク編、その1を。
今回は、その2、ハイデルベルクをうろちょろした話。
真っ白な教会と本屋さん
講義やワークショップの無いフリーの木曜日、ひとりでハイデルベルクを散策。事前に調べていたお決まりの観光地を回ってきた。
まずは聖霊教会(Heiliggeistkirche)へ。街の中心にドーンとそびえ立っており、教会の周りにはお土産物屋さんがズラリ。どの店も同じような商品が売られている。Heidelberg と地名が入ったマグネットにTシャツ、マグカップやポストカード。お客さんの取り合いで喧嘩にならないのかな、と思ったが、みんなのんびり座っている。商売っ気の無さが面白かった。
Jesuitenkircheは、外壁は他の建物と同様の赤茶色だが、中に入ると真っ白。エレガントだが、質素な感じもあり、落ち着きのある空間だった。そして絵画や像がいたるところに。ガラスのシャンデリアは豪華だが、どこかキッチュな雰囲気もあり。お祈り中の方もいて、そろりそろりと見学。
旧市街に、良い本屋さんあり。という個人的な見解。ハイデルベルクでも、良い本屋を発見し、飛び込んだ。お店の中は本だらけ。本がびっしりと棚に、そして古い葉書や地図などの紙の資料が箱に詰められていた。本棚以外にも、無造作に平積みされていたり、一歩足を踏み入れると、独特の空気感。
ショーウィンドウには、カフカ関連の本が並べられていて、熱心に眺めているお客さんがいた。店主の方も親切。児童書コーナーでケストナーを購入。
Faith and Healing
旧市街から、道に立っている案内標識に従いながら、ハイデルベルク城(Heidelberger Schloss)へ。お城へ続く坂道の前に立つと、先に進もうか、いや止めておこうか、と迷うほどの急斜面。
降りてくる人はみな汗だくで、斜面の先を行く人の背中は曲がっていた。せっかく来たんだし、ということでのぼりはじめたが、途中何度も足を止めて呼吸を整えた。
お城へ続く最初の道は無料だが、その先は大人一人につき9ユーロ。頂上までのぼると、ハイデルベルクの街並みを見下ろすことができ、これが絶景。風もよく吹いており、なんだか街に包み込まれているような感覚。
ハイデルベルク城内にはドイツ薬事博物館(Deutshes Apotheken-Museum)があり、無料で入ることができる。薬を整理しておさめている大きな棚や、道具が展示され、治療の歴史も解説されていた。
面白かったのは、病気の治癒と信仰の関係。洋の東西を問わず、現在のような医学知識のない時代、原因のわからない病気の原因や、その治療は信仰と結びつけられていた。Faith and Healing と題したパネルでは神学(theology)と薬学(medicine)の密接な関係について解説されていた。
また19世紀に奉納品として用いられていたというアイテムの展示も。子宝にめぐまれることを祈る縛られた赤ちゃん(bondaged baby)、子宮のシンボルとして亀など、いろいろな表象が健康と結びついていたよう。
コンパクトな博物館ながら、豊富な資料と解説で、つい長居してしまった。医学という特定のテーマにフォーカスした博物館だが、話の広げ方が見事だな、と。人文学の観点からも、とても勉強になった。
翌日、この博物館が面白かった、とこちらの学生さんに話すと、ワニが飛んでるの面白いよね、と言われた。言われてみると、確かに。
おわりに
ハイデルベルクはとにかく広く、そしていつも良い風が吹いていた。滞在最終日にはネッカー川をクルーズ船で遊覧し、風を浴びながら、川沿いの緑をのんびり眺めた。城や博物館、教会などハイデルベルクで訪れた場所で学んだ、この街の長い歴史が思い返された。
ハイデルベルク大学の学生さんに、行ったことのあるドイツの都市は?と聞いたとき、ドイツはどこに行っても大体同じなんだよね、と言われた。城、川、博物館、そして教会。どの都市に行っても、大体同じ、とのこと。厳密に言えば、都市それぞれの特徴はあるが、まあ大体同じ、らしい。
ハイデルベルク滞在後は、電車でミュンヘンへと移動。駅を出て街を歩き、いやハイデルベルクと全然違うやん、と。もちろん、学生さんたちの発言は冗談半分だったのだけど。しかし、おおらかな雰囲気はハイデルベルクと同様で、ミュンヘンもしっかり堪能してウィーンへと帰った。