秋がきた【ウィーン留学記】
はじめに
猛暑の8月後半を越え、9月になると雨が続いた。一週間も降り続き、ドナウ川はかなり増水したらしく、なかなか危険な状況だったらしい。雨が降ったこともあってか、気温はぐーんと下がり、10度以下になる日もあった。
酷暑でへばっていた翌週に一気に寒くなり、すこし体調を崩しかけたが、なにはともあれ秋がやってきた。芸術祭や映画祭など、ウィーン各地でイベントが開催されているそう。過ごしやすい気温になったし、ということで最近はいろいろと足を伸ばしていた。
今回は、ここ最近の出来事を。
やっと秋がきた
9月の終わり、気温は高くても20度ほどで、良い風も吹いており、とても過ごしやすかった。日差しはまだ少し夏の色を残していて明るい。歩いていて汗だくになることもなく、散歩にうってつけである。
テキトーにぶらぶらと散歩していると、何かイベントに出くわすことがしばしば。ヘルデンプラッツ(Heldenplatz)という大きい広場では何かしら開催されている。この前は農業フェスティバル?が開催されており、オーストリア各地の農家さんが集まり、野菜やチーズ、加工肉などが販売されていた。
ステージではミニコンサートが行われており、いい盛り上がり。オーストリアの伝統的な服装を着ている人がたくさんいて、見ているだけで楽しかった。男性はチェックのシャツにベストを羽織り、女性は袖のふくらんだワンピース。レストランの店員さんも、よくそういう格好をしている。
別の日はスポーツフェスティバルが開催されており、子どもたちがたくさん集まっていた。いろいろなスポーツのブースが出ていたが、スキーのブースが大きく、盛況に見えた。オーストリア出身の知り合いに聞いた話によると、スキーがいちばん人気のスポーツとのこと。ウィンタースポーツの方が馴染み深い存在のようである。
夜の散歩
日中の気温が下がれば、夜間はもっとひんやりである。夜にぶらぶら歩くのも、また楽しい。ウィーンは観光地ということもあって夜も人通りが多く、ラートハウス・パーク(Rathauspark)など夜も煌々としている場所もあるので、歩いていて楽しい。
先日、アカデミーシアター(Akademietheater)へ演劇を見に行ってきた。演目はヴァージニア・ウルフ(Virginia Woolf)原作の『オーランドー(Orlando)』。開始時間は8時だったため、散歩がてら歩いて劇場へ。
劇場のエントランスでは白ワインが販売されていた。開始時間まで、たくさんの人が劇場前で夜風にあたりながらワインを楽しんでいる。ウィーンに来てもうすぐ6か月、みんなどこでもすぐに白ワインを飲むな、と感じることしばしば。
演劇はアヴァンギャルドな表現の連続で、終始圧倒された。特別な舞台装置があるわけでもなく、黒い衣装をまとった7名の役者さんがセリフを重ねていく。予想していた以上に会話劇だったため、ドイツ語が聞き取れないことが多く、劇全体を充分に理解できなかったのが悔やまれる…。しかし、なんかすごいものを見た、という満足感で足取り軽く帰宅した。
美術館へ
天気のよい日、現代美術館 Heidi Horten Collectionへ。オーストリアの画家として有名なグスタフ・クリムト(Gustav Klimt)から、アメリカの画家アンディ・ウォーホル(Andy Warhol)まで作品が集められていた。
建物を見上げると、壁に黒い人がぺったりくっついており、ちょっと驚いた。こちらを見下ろしている造形なのだろうか。
美術館の1階部分は絵画作品を中心とした展示であり、2階と3階にはさまざまな現代アート作品が並んでいた。メインは明らかに1階の展示なのだが、個人的に2・3階がとても面白かった。光や音を利用したアート作品が並び、新鮮。ガラスの管の中を光の線が走っていたり、色のついたガラスの板が照明の前でまわっていたり。刺激的な展示だった。
そこまで大きな美術館ではないが、中は広々としていてゆったり作品を鑑賞できた。おもしろい現代アートを体験でき、楽しかった。
おわりに
夏バテから解放され、秋を楽しんでいるが、どんどん日照時間が早くなり、あっという間に冬になるんだろうな、と。今の内に太陽の光を浴びておかねば。留学生活も折り返し地点に来たが、ちょこちょこ息抜きしつつ楽しく過ごそうと思っている。