高齢者への睡眠薬に対する雑感

ベンゾジアゼピンがだいぶ使われなくなってきた昨今ですが、他剤の効果が乏しく仕方なく出されたベンゾジアゼピンの効き目にはやっぱり良いなという時もありますね。でも、ベンゾジアゼピンにこだわる患者さんをみていると使用症例が少なくなった分、依存性に近い患者さんのこだわりは感じます。

ここでは色んなエビデンスとかあるんでしょうが、薬剤師もたまには主観で発言しても良いんじゃないかということで雑感を。
あくまでも個人の感想です。

非ベンゾジアゼピン

非ベンゾジアゼピンのゾルピデムやゾピクロン、エスゾピクロン。
これって結局は作用的にはベンゾジアゼピンと同じなんであんまり推奨はしたくないとは個人的にあります。
世の流れ的にも賛否両論あるようですね。
まあ、短時間タイプだから蓄積が少ないとはされますが、高齢者となる場合はそれなりにリスクは考えられます。

オレキシン受容体阻害薬

ベルソムラ、デエビゴになりますが、分包などしやすいデエビゴの方が薬剤師としては使い勝手がいいですね。
規格も2.5mg、5mg、10mgと倍々なのでイメージしやすいのもありますね。

これらの薬はついついベンゾジアゼピンと比較されがちで、ベンゾからの切り替えからはあまり評判は良くないものの、近頃はベンゾが使用量が減ってきた事もあり比較されなくなってきた感があります。

実際の投与をみるとデエビゴでは、意外といったら失礼ですが効果は出ている実感はあります。また増量での効果も個人的には感じてます。

また、頓用で開始になる事もそれなりに多くて、施設の看護師さんに効果を確認すると「良いみたい」と言うことがしばしば。

ラメルテオン

これも正直、効果がはっきりしないという感じですが、精神科の専門医からは上記2つと組み合わせて出す処方をチラホラ見かけます。

エスゾピクロン2mg
デエビゴ5mg
ラメルテオン8mg

って感じです。
場合によってそれぞれ増減してる印象があります。

ラメルテオンは夕食後に少量投与する方法もあるようで、時々見かけます。
減量せずに8mg夕食後というのも珍しくは無い印象です。

トラゾドン

これが出てきた時は、私の経験ではほぼほぼうつのある高齢者です。
うつ状態にはゾルピデムとかは使いづらいそうで。

トリプタノールなんかも使われますが、薬剤が手にはいらないことが多いので処方はだいぶ目にしてません。

ミルタザピン

これも抗うつ薬になりますが、食欲も無いタイプの不眠に出される事があるようです。
個人的には7.5mg錠を何処かのメーカーから出して欲しいとは思います。
それなりに効果は良い感じです。

最後に

あくまでも個人の主観で感想を書いただけです。
詳細は薬剤師さんそれぞれで調べてくださいね。

追記

あ。睡眠の補助で使う薬を。
逆に先述の薬とは別に単独で睡眠目的として使う事もあります。

クエチアピン

高齢者医療ではかなりの頻度で目にします。
睡眠目的で出す事があります。
せん妄を伴う場合に出される事が多い感じがします。
作用時間も短く、用量も12.5mgと軽い用量からそれなりに効果が出るのが特徴です。
また、低用量から抗不安作用を持つのも特徴です。
ただし、糖尿病には禁忌です。

リスペリドン

剤形も豊富で切れもあるイメージです。液剤もOD錠もあるのは便利です。作用時間も長いわけではないので、クエチアピンと同様に使われる頻度の高い薬です。どちらも似ていますが、興奮を抑える力はリスペリドンの方が強いように思えます。と、言うかSDAなのでドパミンやセロトニン受容体へより特化していると考えると良いかと思います。

クエチアピンとリスペリドンの眠気は抗ヒスタミン作用も関与しているそうです(ちなみにSDAのブロナンセリンは抗ヒスタミン作用は無いとされてます。ここで少し用途がかわりますね。)。

抑肝散

認知症と言えばこの薬というくらいかなり良くでています。
ただ、服薬指導をしてみると多くの医師はせん妄や不穏、高次機能障害など周辺症状に処方していると思われます。
また効果は思ったよりも早く初回の服用から効果の出る方も少なくありません。
効果を判断するのも早くでき、意外にも使いやすい感じです。

メマンチン

抑肝散の一緒に出される事が多い薬ですが、夕食後で処方された時は睡眠の補助で使う事が多いようです。
使用時間は比較的長いものの鎮静作用はマイルドなので日中に不穏がある場合にも使われます。
逆に認知症を悪化させない向精神薬というスタンスで見ると納得できる症例は多いかと思います。

また、思い出したら追記しますね。

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