産後に食べたい!養生食材
こんにちは!
北海道の中医薬膳師、みやこです。
日々のちょっとした不調を整える薬膳などを紹介しています。
第12回(穀雨)は、産後の養生についてです。
ヒトをひとり産み出すことは命懸けのとても大変な出来事です。
たとえトラブルなく超安産といわれるお産だったとしても、気力体力の消耗は相当なもの。
さらにその後の生活では赤ちゃんのお世話が待っており、たとえ調子が悪くても自分のことは後回し、赤ちゃん優先にならざるを得ません。
どんなに疲れていても、気軽にマッサージに行くなんてなかなかできない!
だからこそ、日々の生活の中で少しでも不調の改善ができれば嬉しくないですか?
例えばごはん、毎日何かしらは食べるはず。
そのときに食べるもの次第で身体も心も少し楽になるかもしれません。
ですので、産後養生のひとつとして薬膳の知恵を知っておくことはおすすめなのです。
中医学で、出産後の身体は「三虚」といわれる状態になります。
3つのものが「虚」している、つまり不足しているという意味です。
その3つのとは「気・血(けつ)・津液(しんえき)」という、人体を構成し、生命活動を行う基本となる物質のこと。
ざっくりいうと、気はエネルギー、血は血液、津液は潤いです。
出産では、
・体力の消耗により、気(エネルギー)
・出血や授乳により、血(血液)
・大量の発汗により、津液(潤い)
が一斉に大量に失われます。
これは全治数ヶ月の交通事故にあったのと同じくらいのダメージなんだとか。
様々な不調が出てくるのも当然なのです。
それぞれが失われることによって以下のような不調が起こります。
・「気」の不足(気虚)→疲れやすい、悪露が長引く、尿もれなど
・「血」の不足(血虚)→産後うつ、母乳不足、抜け毛、肩凝り、腱鞘炎、不眠など
・「津液」の不足(陰虚)→便秘、肌のカサつき、足腰のだるさなど
どれも産後のトラブルとしてよく見聞きするもので、出産経験のあれば思い当たることがあるという方も少なくないのではないかと思います。
では「どんなものを食べたらいいの?」ということですが。
失われたものを補う食材を摂ります。
・気虚…気を補う、お米、芋類、かぼちゃ、キャベツ、ブロッコリー、鶏肉、牛肉など
・血虚…血を補う、イカ、タコ、レバー、ニンジン、ほうれん草、ブドウ、落花生など
・陰虚…津液を補う、卵、豚肉、ホタテ、牡蠣、黒胡麻、白胡麻、イチゴ、アスパラガス、小松菜など
これらを意識して多めに食べるようにしましょう。
薬膳はこれだけを食べればよいというものではありませんので、不調に応じて偏らずに程々に。
もう少し薬膳ぽさを加えるならば、おやつに棗(なつめ)はいかがですか?
日本ではあまりメジャーではありませんが、なつめは女性のスーパーフードです。
気血を補い、情緒を安定させるはたらきがあります。
ほんのり甘くて美味しいのでおやつにぴったり。
ふかふかの丸ごとなつめもよいですが、私はポリポリ食べられるなつめチップスが好みです。
もう手が止まりません〜。
なつめはネットでも買えますしKALDIなどにも売っていますので、見かけたらぜひ手に取ってみて下さいね。
そして、食事のほかにも大切なことがあります。
それはできるだけ「寝ること」と「使わないこと」です。
寝ることは気血を補う最強の方法です。
とはいえ、赤ちゃんの睡眠リズムが落ち着かない間は夜ゆっくりと寝ることは難しいですよね。
「できるだけ」で大丈夫!
使わないものは「目」です。
目は血によって栄養されているので、血の不足は目のトラブルを引き起こし、目の使い過ぎは血を消耗させます。
授乳しながらスマホをみて、、なんてNGですよ!
ところで。
韓国には「産後チョリウォン」という、出産後の女性の身体をケアする施設があり、産後多くの方が利用しています。
そこで毎食食べることになるのが、ワカメスープ。
韓国で出産といえばワカメスープというくらい、誰もが食べるメニューです。
ワカメは、薬膳では身体の余分なものを出すはたらきをもっています。
産後は悪露を出し切ることが大事、理にかなっていますよね。
ワカメスープはさておき、そこでは母体のケアがメインなので、お母さんは至れり尽くせりで過ごすそうです。
韓国での入院期間は2〜3日と短いのですが、チョリウォンで十分に身体を休めてから帰宅し、赤ちゃんのお世話ができます。
日本でもこのような産後をサポートする施設が増えてきたようですが、その数はまだまだ少ないです。
日本でもこのようなシステムが当たり前になるといいのになぁと思っています。
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☆次回は立夏(5/5〜)に更新です!