薬剤師ぴの

病気を持っていても、介護が必要になっても、その人らしく、前向きに生きられるように… そんな想いで日々奮闘している薬剤師です。

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マガジン

  • SOAPが育っていく物語

    SOAPの本質は記録の方法ではなく考え方の手法です。SOAPがモノにできれば医療のレベルはきっと向上する。医師・看護師・薬剤師・セラピスト…SOAPで医療記録をすべての職種に向けて、このマガジンをお届けします。

最近の記事

【序章・第5夜】Who am I?

薬剤師のしくじりに学ぼう今日はまず薬剤師のしくじり症例から 認知症患者の夜間不穏が続いており、処方が変更になったときの記録である。 6月25日 【処方】リスパダール錠0.5mg 1錠 1日1回寝る前 28日分 (マイスリー錠10㎎より変更) 【記録】 ♯薬の変更に伴い、必要な注意点を確認する S:夜中になかなか眠れず、良く興奮して騒いでいる O:マイスリー⇒リスパダールへ処方変更 A:興奮は薬が変更になることで落ち着くかもしれないが、睡眠はとりにくくなるかもしれない。ま

    • 【序章・第4夜】時間軸に沿って視点をずらしてみる

      薬剤師の実務から今日はまず、私が実務で遭遇した場面に基づきSOAPを記載してみよう。  ある80代の女性。狭心症発作の既往があり、その予防のためにフランドルテープという貼り薬が処方されている。この薬、丸一日、貼っておくために、貼った個所がかぶれやすい。保湿をすることである程度和らぐこともあるのだが、それでも上手く行かず、だんだん薬を使わなくなってくる。そしてこの1か月ほどんど手付かずのまま、余っている薬を薬局に持参したのだ。聞けば、かぶれが辛いのでもう使いたくないとのこと(

      • 【序章・第3夜】実務例でSOAPの構造を考えよう

        実務の相談業務例 前回はSOAPの基本的な論理構造を、日常生活の例を用いて(…いや、絶対やっちゃダメな事例だけど)学んだ。今回は実務の例を用いて、SOAPの構造がどんなものなのか、一緒に学んでみよう。 糖尿病教育の場面を例にとって説明をしていく (事例はあくまでフィクションである) S:この1か月で血糖値がかなりあがってしまった。 O:HbA1c7.2%(先月)⇒8.2%(今月)  ※非医療者への注:HbA1cとは血糖値の1~2ヶ月の値の、平均を反映する指標。一言でいえ

        • 【序章・第2夜】SOAPの構造を学ぶ

           薬剤師にSOAPの記録について尋ねると、標準的な理解度はだいたいこんな感じである。 「Sは主観的こと。まあ患者さんの話したことを書けばよい。これは簡単  Oは客観的なこと。だから検査値とか処方の内容とかかな。これも特に考  ることはないよね。  Aはアセスメント。…これはちょっとムズイ(何がどうムズイのか、多くの薬剤師は説明できない)  Pはプランで薬剤師が話したこと。  まあ、こんな感じで服薬指導での応対や記録を4つに分けて書くことですよね」 …悲しいくらいに本質を外し

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        • SOAPが育っていく物語
          5本

        記事

          【序章・第1夜】SOAPを知らないでSOAPを書いている人たち

          薬剤師の世界では、訳の分からん事態が横行している。それも結構前から。そして多くの薬剤師に自覚されないまま。 それが薬剤師の医療記録(薬歴)である。 看護記録、診察記録、リハ記録…多くの医療記録がPOS(ProblemOrientedSystem)の記載形式である、SOAPがスタンダードになっていると思う。この薬剤師の記録もしかり。だが、はっきり言う。9割以上の薬剤師はSOAPの本質を知らない。そんでもってSOAPの形を借りて、本質SOAPとは無関係な記録を書いている。下手

          【序章・第1夜】SOAPを知らないでSOAPを書いている人たち