アロマトリートメントはリフォームの設計図
そうか。
と思ったこと。
アロマトリートメントを施術することは、リフォームを施すことと同じなのかもしれない。
お施主さんのお話を聞かせていただく。
初めてお会いする人もあるし、
今までどんな感じで生きてきて、そして近年こんなことがあって、
そして今どんなことに気づいてどんな生き方をしていこうとしているのか、
といったことについて。
リアルのリフォームの相談であったりデザインの依頼であったりも同じかもしれないけれど、
全く違う世界観にいる他者の語られることを言葉だけで理解することはとっても難しい。
言葉って、あちらの思ってる意味とこちらの思ってる意味は違うかもしれず、それを同じという前提でキャッチボールしあっているだけだし、
本人だって適切な言葉を引っ張ってこれてる確信すらないのだから。
そこで、第二段階として香りが登場する。
内側世界にあるものを、
言葉ではなく、それを香りで表すとしたらこんな感じかな?
というのをキャッチボールしてみて、
内側が「そう、これ!」というものをブレンドしたりして作ってゆく。
これはもう、本当にその時だけの、たどり着いた香り。
心を正面から優しく分け入ったからこそたどり着いた香りで、
次の瞬間に何か別の思考(こうしといた方がいいかなとか、こっちの香りいいって聞いたことあるぞ、とか)が入り込むと途端に見えなくなってしまう繊細な作業。
だけど嗅覚は確かなので、
ちゃんと香り比べていくうちに、明らかにこれだと身体が訴えているというのはわりとはっきりと確信できるものなのです。
そうしてできた、今の自分の精油、これが設計図です。
これを用いてトリートメントしていくと、
人によって様々だけど、
何かしらのざわめきが始まる。
だって身体はそのようではないから。
今まで過去の設計図で組み立てられ、補強され、できているのが今の身体だから。
これが、リフォームみたいだなと思ったのです。
どこか別の事務所かどこかで話し合って、すっかり設計図が出来上がり、
いざ図面を持って古いお家に入ってみる。
「ここの壁は壊して全部繋げましょう。」
「玄関はこっち側に移しましょう」
「床下にパイプ通して全部暖房できるようにしましょう」
するとおうちは「ええー!」となる。
「急に全然違うこと言われてもー!」と。
そして、おうちの性格によっては抗議が起きる。
「だってここの壁壊したら崩れますよ!」
「こういう動線で普段動いているから困ります!」
「そんな機能聞いたことないし、ここには無理です無理無理!」
と。
だけど、建築家と施主さんとはもう新しいイメージの世界に入っているから、
お互いで日程準備粛々と整えて、
じゃあ始めまーすとばかりにドリルで穴をさっさと開け始める。
良くなるなぁとうっとりした顔で。
ここで、準備万端だったおうちと、寝耳に水だったおうちと、ずいぶんと反応が違うし、
準備万端かと思いきや「いやそこは…」と意外と頑固だったり、
寝耳に水だった割には協力的だったり、
面白い。
でも絶対に、バリケード張って全員で断固阻止ということはなくて、
どんなに手強そうな始まりだったとしても、新しい設計図の魅力には抗えず、
こっちになびいてくる子たちが必ずいる。
そしてリフォームはたいてい、建物の息を吹き返すためというか、床下に埋もれていた息吹を表に出してあげるために必要性を施主さんが感じてのことが多いので、
その床下の息吹がどんどん力を取り戻してくると、
ちょっと困るーなんて現場で勝手に食い止めようとしている輩?の力なんて刃にもかからない。
トリートメントも後半になり、頭を通過した頃には(私のトリートメントは下半身から始まって頭は最後の方になります)、もうここを牛耳ってる長老というか、ドン(頭)に話がついてこちらの意図を理解してもらったので、ドンがその気になってるから、手下たちももうこちらのアシスタントと化して、
みんなでよいしょよいしょと大きな切り株を引っこ抜いたり、
藪を払ったり、
ほぼ全員野球状態で一気に進みます。
そして、新しい設計図に基づいた慣れない暮らし方も頑張ってやってみてくれてるのが見て取れる。
ここが本当にカタルシスだし、感動なのです。
それを優しく大きな存在の手が見守りサポートをして、終わってゆく。
まだ完全ではないにしても、新しい設計図に基づいて新しいおうちに変えてみてくれて、それで呼吸してみてくれた。
それはこのとりあえず今の施術中ことで、また元の慣れたやり方に戻すかもしれないけど、
一度新しいおうちを経験した細胞が、これからの道筋に新しい何かを得た。
そんなことがトリートメントだと思います。
そこから一気に変えてゆくのか、
まずは体験のみ胸にしまっておくのか、
それはもうその方の身体や心のペースであり、
その方の内側世界がいいと思うようにしか進んでいかないので、お任せするしかない。
でも、その方の深いところや直感が今思っていること、こうなりたいんだという健気な「気持ち」。それを設計図の形にしてそういう心づもりの誰かが(自分でもいいのだけど)付き添って、細胞たち一つ一つやその集合体、ブレイン的な存在であるドンなどに、ちゃんとお届けするということはとっても意味があります。
ただバラバラと生きてるのではなく、
こういう方に向かいたいと思ってますというお手紙(設計図)をちゃんと書いて、みんなに把握してもらうということ。
アロマトリートメントってそういうことだと思います。