お香の材料と生薬
お香の材料は生薬でもあります。
例えば高級香木の代表、沈香(じんこう)。ジンチョウゲ科の常緑高木が、風雨や病気、害虫などによって傷ついた時に、木が自分を守るために分泌する樹脂が長年蓄積、乾燥したものです。
特に質の高いものを伽羅(きゃら)、奈良の正倉院に収蔵されている、織田信長も切り取ったという貴重なものは、蘭奢待(らんじゃたい)と呼ばれています。
生薬名も沈香(じんこう)です。気の巡りを良くして痛みを和らげる、胃を温めて、吐き気を鎮める、呼吸を楽にする作用があります。
お香の材料となるものをいくつかあげてみます。
■檀香(だんこう) ビャクダン科ビャクダンの木質心材。
別名 白檀(びゃくだん) 、 サンダルウッド
■安息香(あんそくこう) エゴノキ科エゴノキ属の植物の樹幹の傷跡から滲出する樹脂。
別名 ベンゾイン
■丁香(ちょうこう) フトモモ科チョウジノキの花蕾。
別名 丁子(チョウジ)、 クローブ
■乳香(にゅうこう) カンラン科の植物の樹幹から滲出する膠状の樹脂。
別名 フランキンセンス
■竜脳(りゅうのう) フタバガキ科の植物の樹脂を加工して結晶化させたもの。
別名 竜脳香、冰片(ひょうへん) 、ボルネオール
■桂皮(けいひ) クスノキ科ケイおよびその他同属植物の幹皮
別名 肉桂(にっけい)、シナモンカシア
■藿香(かっこう) シソ科パチョリの全草または葉
別名 パチュリ、パチュリー
いずれも、「気」に働きます。
目に見えない「気の病」には、目に見えない「香り」が効く、なんとなく分かる気がします。
匂い袋を手元に置いて、ちょっと落ち込んだ時やイライラした時などに、そっと匂いをかぐ。
香りのお守り。