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冬でも青々、カンアオイ(寒葵)。

寒い冬でも青々とした葉のカンアオイ(寒葵)。地元の山を散策している時に見つけました。ウマノスズクサ科カンアオイ属の多年草です。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)に配合されている細辛(さいしん)の根と似ているため、土細辛(どさいしん)という名前もあり、代用品として用いられたこともありますが、香りも薬効も弱く、細辛には及びません。

好奇心からちょっと土を掘って根を見てみたら、細辛のような細い根が確かに出てきました。洗ってかじってみましたが、確かに香りも味も刺激は強くありませんでした。
(カンアオイは有毒植物なので、食べないでください。)

細辛は同じくウマノスズクサ科の植物、ウスバサイシンの根を乾燥させたものです。根は細く、口に含むとしびれるような辛さがあるので、細くて辛い、細辛(さいしん)と名付けられました。

細辛に含まれる精油には局所麻酔作用や解熱、鎮痛、降圧作用などがあります。

生薬としては体を温め、発汗させて風邪の元を追い出したり、肺を温めて、痰を出しやすくしたり、痛みを和らげる作用などがあります。
細辛は、花粉症の水鼻の漢方薬としておなじみの小青竜湯(しょうせいりゅうとう)、頭痛薬の川芎茶調散(せんきゅうちゃちょうさん)、歯痛薬の立効散(りっこうさん)などに配合されています。

「細辛は一銭(3g)を過ぎるべからず」(細辛を漢方薬に配合する時は、3gを超えてはならない、という意味)と言われています。
ウスバサイシンの地上部にはアリストロキア酸が含まれるため、このような注意がありますが、日本で流通している細辛は根で、根にはアリストロキア酸は含まれないため問題ありません。
しかしながら中国では地上部も生薬として用いるため、中国で流通している漢方薬を個人輸入などで服用する際には注意が必要です。
(※アリストロキア酸…腎毒性あり。ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属及びカンアオイ属の植物などに含まれる)

細辛のように、中国と日本で、生薬として使う部位が違う、ということがよくあります。そしてそれ故、副作用が問題になることもあります。
漢方薬は、信頼できる日本の薬局、薬店で購入するようにしましょう。



参考書籍;「漢方のくすりの事典」米田該典監修 鈴木洋著
    「中医学のための中薬学」神戸中医学研究会編著

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