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やくのしま⑦

つゆの時期に花を咲かせるから
という訳ではない「露草(つゆくさ)」。名前の由来は朝咲いた花が昼しぼむことが朝露を連想させることから、とか「その日のうちにしぼむ花」とか。諸説あり。

非常に繁殖力があり、いつの間にかやってきて、知らぬ間に一面つゆくさで一杯になっています。この生命力にして日本古来の野草のひとつです。しかし、白色は南アメリカ原産の品種とされています。

花は鮮やかな青色やかわいい白色があります。馴染み深いその風貌から、1996年3月28日、390円切手になりました。

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青い花は水で流せる絵の具として利用できます。水に浸すと色がにじみ出てきます。この特性を生かして、友禅染の下書きに使われています。

柔らかい葉はクセやアクが少なくて食べやすいため、天ぷらやおひたしや和え物、煮びたし、炒め物、酢の物と様々に料理して食べることができます。

また、花ごと乾燥させると薬草(生薬)として利用できます。効能は解熱作用、解毒作用、下痢止め、利尿作用があり、湿疹・かぶれや眼病治療、心臓病や脳血栓予防、むくみの解消があるそうです。おまけに、糖質(炭水化物)の吸収を抑える効果があり、ダイエットや高血糖対策としても活躍するのだとか。

万葉集にこんな歌があります。
「月草に衣は摺(す)らむ朝露に濡れての後はうつろひぬとも」
つゆくさの青に衣を染めよう(:あなたを受け入れよう)、たとえ、あなたの心がすぐに移ろってしまうとわかっていても

俳句で「露草」「月草」「蛍草」は梅雨ではなく秋の季語となっています。