#屋久島の鳥たち 4月
身近な鳥って、どんな鳥?
「よくいる鳥って、スズメとカラスとハトぐらいしかわからない~」
そんな声をよく聞きます。
実は私もそうでした。
というか、鳥に興味がなかった時、イメージするのがそれらだったような気がします。
実際、屋久島でよく目にする鳥、本当にスズメやカラス、ハトでしょうか?
スズメは意外と少ないように感じます。
私の住んでいる椨川集落には棚田があります。そこでお米を作っていますが、稲穂が垂れる時期になると、今までどこに居たのだろうかというぐらいたくさんの、多分数百羽はいるであろうスズメの群れがお米にありつこうと集まってきます。
それ以外の時期はほとんど見ません。見ても数羽程度です。
意外と屋久島では身近ではないのかもしれません。
実はハトも、都市部の公園で見かけるようなドバトはいません。鳥が怖い人は、公園のハトのグイグイ来る感じが苦手なようですが、そのハトは屋久島にはいません。逆に、人の気配を感じるとバサバサーッ!と飛び立ち逃げていくので、その音にビクッとすることが私はよくあります。
よく見るのは、体が茶色いキジバトです。電線にとまっていたり、畑の周辺で地面の虫や植物の種子などを歩いて食べていたりするのを見かけます。鳴き声は、「ぽーぽー ポーポー」とフクロウをイメージさせるような鳴き声です。聞いたことがあるかもしれません。
もっと身近にいるのは、ヒヨドリではないでしょうか。
スズメよりは大きくハトよりは小さく、細身の鳥で全体的に灰色です。よく見ると頬に茶色いチークが入っています。
「きいーーーーー!きいーーーーーーー!」と大きい声で叫ぶように鳴くので目立ちます。果実や昆虫を食べ、花の蜜も吸います。屋久島はすぐそこに森があります。森には果実をつける木がたくさんあります。ヒヨドリはこれらの実を丸飲みして、そして種を吐き出していろんなところにばらまいています。そのばらまかれた種が芽を出し、大きくなって森の一部になっています。
地味で鳴き声もそんなに美しくないので、とりわけ好む人も多くなく、また、冬場は屋久島の主要な農作物のタンカンやポンカンの実を突きに来るので、厄介者に思われがちなヒヨドリですが、私たちの住む背後に広がる豊かな森の世代交代に大きな役割を果たしている存在と思うと、ちょっと見方が変わるかもしれません。
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福留 千穂/ふくどめ ちほ
鹿児島生まれの鹿児島育ち。県内の小中学校で養護教諭として勤めていましたが、ガイドを志し2014年に屋久島へ。屋久島の自然を案内する中で、野鳥の存在は避けては通れず、野鳥を覚えるために意識して見るようになったところ、野鳥のかわいさ、美しさ、たくましさに触れ、すっかり虜(とりこ)になってしまいました。
現在はカメラを片手に、野鳥の姿や鳴き声を探して歩く「とりさんぽ」が生活の一部になっています。
耳を澄ますと、いろんなところから鳥の声がする。
よく見ると、いろんな鳥が近くにいる。
そのことに気付いてもらえ、野鳥の生活に気持ちを寄せてもらえると嬉しいなと思い、屋久島で見られる野鳥の様子をお伝えしていきたいと思います。
https://www.instagram.com/chihofuku_yakushima