#島ぐらしとさかなたち 2月
屋久島水揚げ第2位の魚
屋久島での水揚げ第1位の魚といえば、みなさんご存じのトビウオ。
年間を通して10種類前後のトビウオが獲れる。
トビウオと並んで屋久島で有名な魚といえば、観光客にも人気の首折れサバ。
こちらはゴマサバという種類で、1日の出荷制限もあり屋久島での水揚げは第5位となっている。
では、第2位の魚とは?
それは、メダイ。
体に対して目が大きいことから名付けられた白身魚で、屋久島ではタルメと呼ぶ。
旬は1月~3月で、鹿児島県の冬の魚にも選ばれているが、
島内ではあまり有名な魚ではないかもしれない。
というのも、近年その美味しさが知られるようになり、高値が付くようになったため、島外へ出荷される魚の一つであるからだ。
10年前はよく我が家の食卓にあがっていたメダイも、今や高級魚。傷がつくなど売り物にならない時にだけしか食べられない魚になってしまった。
水分が多いメダイは茶わん蒸しの具にするとその旨味が余すことなくいただけるし、脂がのっていればお刺身も美味しいが、メダイ料理の頂点はやはりフライだと思う。
身はしっとりしていて、上品な甘さがある。熱々のフライは噛むと同時に肉汁(魚汁?)がジュワ~っと衣に染み出し、汁を吸った衣の旨味にまた唸る。
メダイは骨が太いので、小骨を気にすることなく食べられるのも良い。
食べきれなかったフライは、味噌の容器に入れて保存するのが、祖母から教わった方法。
余分な水分が味噌に吸収されるのか、翌日は身が締まり、わずかに味噌の香りを纏う「フライの一夜干し」のようなものができている。これがまた美味しくて、そのまま食べるのはもちろんのこと、クリームチーズと味噌と一緒にパンに挟んでも馴染んでしまう、不思議な一品なのだ。
メダイのほかにも水揚げ4位を誇るハマダイ(チビキ)や、全身大トロのようなムツ、晴れの日をより華やかに彩ってくれるナンヨウキンメなど、屋久島には個性豊かな深海魚が多く水揚げされている。
島でもこういった魚が気軽に食べられるようになるといいのだが……。
お刺身からB級グルメまで、魚料理ならなんでも食べられる地魚専門店をやりたいなぁ。
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川東繭右(かわひがし まゆう)
東京都目黒区出身
島の魚に魅了され、2011年屋久島に移住
学校司書補として勤務する一方で、魚の面白さや美味しさを普及する活動を行なっている
趣味は魚の耳石集め
好きな魚はクサカリツボダイ ヒトミハタ
お魚マイスターアドバイザー
水産庁魚のかたりべ
鹿児島県指導漁業士