2017旅行記その17:偉大なる渓谷へ
約7000万年前に隆起した大陸を、約4000万年前からコロラド川が侵食し続けることでできた壮大な渓谷。積み重なった地球の歴史を目の当たりにできる場所として、私にとってグランドキャニオンはアメリカ観光で外すことのできない場所だった。ただし、ラスベガスから車で5時間くらいかかる場所なので、今回もツアーに参加。この日はグランドキャニオンの夕日を狙う旅程なので、アンテロープキャニオンの時のように早朝じゃないのは助かった。
まずは映画「カーズ」の舞台のモデルとも言われる町セリグマンへ向かい、そこで昼食を兼ねた休憩。正直、そこまでアメリカ文化への憧れがないので、ルート66だからこう、という感慨はない。むしろ、亡き父の方が喜んだ場所だっただろうな。私は見てないのでこれまた特別感慨はないのだが、映画に出てくるキャラクターのモデルとなった車もある。もはや観光客慣れしたハンバーガー屋さんの、アメリカっぽい持ちネタには苦笑。
それでも、どこまでも続く真っ直ぐで平坦な道や、周りの建物の密度が薄い感じが何ともアメリカっぽい。日本で育った私には、これで町なのか不安になるくらいなのだが、こういう環境で育った人なら、むしろ日本の都会がえらくゴミゴミしたものに見えるだろう。お土産物屋さんを見たりお手洗いを済ませたら、改めて車はグランドキャニオンを目指す。
駐車場からグランドキャニオンまではちょっと距離があるし、実際のへりというか渓谷が見渡せる場所までもなかなかのアドベンチャー。岩のアーチをくぐり抜けたり、岩場を登ったり降りたり。こういうところに先住民の人たちは住んでいたと思うと尊敬する。水が確保できるのと、動物に襲われにくいから選んでいたのだろうか。もしかしたら眺めのよさで決めたのかな、なんて考えを巡らせながら、ガイドさんおすすめスポットで日没を待つことに。
赤く染まる渓谷は、一体何回この風景を繰り返してきたのだろう。短い時間しか与えられていない人の身では、想像するだけで頭が痺れる。そして、すぐに何も考えられなくなった。誰も何も言わず、岩の上に座って、ただただ美しい夕景を眺めるのみ。剥き出しの歴史が放つ圧倒的な存在感を身体中に浴びて、静かに、でも満足感はいっぱいのツアーが終わった。
この日も夜遅い時間にホテルに戻ったので、横のコンビニで食料をゲットしてすぐ就寝。一般的なラスベガスらしいことは何もしていないが、こればっかりは仕方ない。
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