2017旅行記その15:グラウンドゼロからラスベガス

ニューヨーク最終日は生憎の雨。だが、どうしてもこの街から移動する前に行っておきたい場所があった。

2001年9月11日。当時大学生だった私は、夜更かしするのが当たり前の日々を送っていた。その日も深夜になってから風呂に入り、上がってリビングへ行くと存命だった父がいつになくシリアスなトーンで「大変なことが起こった」と一言。テレビでは、現実感のない飛行機の突入シーンが、繰り返し流されていた。しばらく二人とも無言で画面を見つめていたことを、そして漠然とした、しかし大きな不安を感じたことを今でも覚えている。

それから世界は大きく変わり、私も社会人になった。現代史を語る上で欠かせない「グラウンドゼロ」に立ち、かつてのワールドトレードセンタービルの勇姿やここで命を落とした方々に想いを馳せつつ、2017年の大統領がややこしいことをしてくれないことを切に願う。鈍色の空から降るのは涙雨、とまで書いてしまうと感傷的すぎるだろうか。

旅行した当時から言われていたことだが、この記事を書いている2021年8月段階でアメリカ軍は本格的にアフガニスタンから撤退し、再びタリバンが勢力を拡大している。何事にも区切りをつけることは大切だが、元の木阿弥という言葉が浮かんでくる現状。ニューヨークのモニュメントに刻まれた人も、アフガンの地で倒れた人も、もう戻ってはこない。

旅はそれから電車でニューアーク空港へ向かい、国内線でラスベガス・マッカラン空港へ。国内移動とはいえ、時差があるのが新鮮。アメリカの大きさを改めて実感させられる。一転してラスベガス近郊はいい天気で、早くも空港内から設置されているスロットマシンが、どういう街にやって来たかを雄弁に語ってくれる。良くも悪くも、ここまでの気分はガラッと変わってしまった。

といっても、私は夢を求めてラスベガスへ来たわけではないし、そもそも軍資金も持ってない。ここからはアメリカの大自然を味わうべくツアーに参加する。ということで、チェックインしたら早々にベッドに潜り込む。何せ次の日は午前2時に起きて準備しないといけないからね。

お世話になった宿
エリスアイランドホテル
https://www.ellisislandcasino.com
参加するツアーがラスベガスの有名ホテルから、しかも早朝に出発するので、そこまで歩いていける距離で尚且つ安い宿を探した結果決めたホテル。いわゆるラスベガスのメイン通りから一本外れた通りで、レストランも併設されているしコンビニも隣にある。改めて調べたらカジノやブルワリーもある施設だった。泊まった部屋は広めのビジネスホテルという感じで快適だったが、自分で予約した宿としてはこの旅で一番高いホテルになってしまった。ここはロケーション優先だったので仕方がない。そして、このホテルがニューヨークで私が行った、移民局のあったエリス島の名前を使っていることに2021年8月現在びっくりしている。
2017旅行記その12:「移民」の意味

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