2.3
日記を書くようになってしばらく経つ。昨年はすっかり忘れて1週間分をまとめて書くようなことが何度もあったけれど、今年に入ってからすでに去年の同じ時期と比べて倍書いている。比較ができるのはWordで日記をつけているから。手を動かして書くのは好きだけれど、日記に関してはそれで続かなかった。誰に見せる予定もないごく個人的な言葉たちをふと見返すと、過去の記憶が言葉によって支えられていることに心強く感じる。もっと早く気づきたかった。
去年の日記は短い生活記録だった。一度寝たら起きれないこと、楽しい寄り道のこと、唐突に始まるともだちの不思議な質問、風邪を引いたこと。喫茶店で懐かしい音楽を聴いた時、初めて買ってもらったウォークマンにその曲が入っていたことを思い出した。という話を書いていて、無くしたはずのものを見つけた気持ちになった。日記を見返すときはいつもそんな気持ちになる。個人的な言葉の堆積は過去、自分だった世界の重要な参考文献だと思う。
今年に入ってからは読んだ本や映画のことも書くようになった。急にこれなんのOPだっけと思い出した音楽のことや、いつも歩いてる道にあるのに気づかなかった蕎麦屋のこと、2冊のうちで迷って選ばれなかった方の本のこと。日記にはほんとうのことばかりだから、大事なことから大事じゃないことまで全部、なくても困らないとしても、丸ごとあってうれしいものだ。