VKet4のあれと提供者の過失問題

こればかりは書かないとダメだなあと思ったので書きます。

どうやらVKetの主催者はUVライセンスを企業向けにもゴリ押ししているようで、しかしNieRのグッズを販売しているスクウェアエニックス社はUVライセンスの間違いを認識して修正を行った独自ライセンスで販売したようです。それ以外の会社はうっかりその文言のまま売ってしまったようですが。

これがとんでもないことになるのかならないのか、と言うお話です。
何が間違いなのかというのは私も再三に渡って指摘していますし、ほぼ同じ考えを共有されている方のご意見も少なからずあがっているのですけど...

(あしやまひろこ氏によるレビュー内容のツイート)
https://twitter.com/hiroko_TB/status/1252201243155431424

間違いを認識しつつ見過ごすことは大問題

商売人たる者、商品にかかる表示の間違いってのは、3秒ルールじゃないけど、気づいた時点で可及的速やかに対応しないといけないんです。消費者契約法とか景品表示法の表示規制にも関わるので。

ダメなパターンとしては

現状のバージョンは1.0だ。
誰しも間違えないことはない。
私たちは十分な努力をした。
次の2.0でより良くする。
現状のもの(1.0)は改善する予定はない。

みたいな主張をして誤りを放置するのは、間違いを認めつつ半ば故意に看過することになりますから、(新)民法95条の趣旨からいうと、「明らかな誤りの訂正」(=民法548条の4による相手方への不利益変更禁止の原則による拘束を受けない)名目による訂正の時機を逸する事になると思われ、Webサイトの記載の誤りを認識していている状態でこれを修正しないまま他人に勧めるのは、3項の「重大な過失」に該当するか、そもそも錯誤であるという主張そのものを自ら否定することになります。

(新)民法95条
(1) 意思表示は、次のいずれかの錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
 ア 意思表示に対応する意思を欠くもの
 イ 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反するもの
(2) (1)イの錯誤による意思表示の取消しは、当該事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。
(3) (1)の錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次のいずれかに該当するときを除き、(1)による意思表示の取消しをすることができない。
 ア 相手方が、(1)の錯誤があることを知り、又は知らなかったことについて重大な過失があるとき。
 イ 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき
(4) (1)による錯誤による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。

結局あれはどうなるのかという話

間違いを認識しつつライセンス文言の提供を継続した場合は、Vket主催者側は故意もしくは重過失責任は問われるのではないかな、と思うのが私の感想です。買ってしまった人にいちいち訂正して回るのは私の役回りではありません。訴訟でもなんでも起きればいいのに、というゲスな考えにすら至っていますが。

仮に私が啓発したところで無力だしあくまで私と利害関係のない人の問題だから私は声をあげる道義的責任すらないね?

提供者としての故意過失責任

「アバター向けモデルに使える利用規約の雛形を作ろう!」という試みは、私が観測した限り、過去何度も立ち上がり、そして立ち消えていきました。利用規約は法的文書の性質を持ち、もしも係争になった際「利用規約を作成した人の責任が問われるのでは?」という恐れから(実際にはそんなことは無いんですけれど)「誰も踏み切れなかった」というのが私が聞き及んだ範囲における認識です。

これ、誰に聞いたのか知らないけど、判例から言うと、状況次第では責任を問えますよ?

私の見立てによると、『UVライセンスの採用のリスクを十分に説明しないばかりか「弁護士の承認を得ている」などと嘯いて採用に対する警戒感を喪失させたなどの事実もあるから、フィ告は相応の故意または過失責任を負う』、というのが原告の主張になるのではないかなと。

まあ、あくまでいくつかの判例を見た上での経験則ですけどね。

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