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客家の生活と文化が息づく湖口老街に行ってきました
妻の新竹県湖口に住んでいる96歳のお婆ちゃんが湖口老街に皆んなで行きたいということで。
私は初めての湖口老街。
客家の100年続く老街で、
建物の素晴らしさと客家料理のレストラン、客家の発酵食品や調味料、生活文化が色濃く溢れる魅力的な老街でした。
老街はアーチ状の騎樓が見事で、構造は閩南(ビンナン)式建築とのこと。閩南式建築は、中国南東部の福建省を起源とする建築様式で、「福建建築」とも呼ばれます。そういえば妻の母方のお婆ちゃんの先祖は福建省南部出身。そして、この100年続く老街は96歳のお婆ちゃんとほぼ同世代、変わりゆく時代を共に歩んできたんだよなぁ。そんなつながりがあるのか、何となくお婆ちゃんが何故皆んなで湖口老街に行きたいと言ったのか分かるような気がした。
湖口周辺の客家の心が今なお宿る老街。
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廟の周りに生活があり、人が集う。
湖口老街を歩いているとたくさんの発酵食品に出会う。客家を代表する食文化といえば発酵食。漬物をはじめ、豆鼓(黒豆の発酵調味料)、紅麹をつかった紅糟、豆腐乳と数多くの発酵食、発酵調味料が並んでいた。
古くは戦乱により住まいを追われ大陸南部へと移住を余儀なくされた民族の歴史から、食べるものにいつでも困らないよう、余剰した食は常に保存し、長期保存が出来るよう食文化が花開いた客家民族。
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(福菜を更に天日干しをした芥子菜の漬物の最終形態。1個20元、5個買うと1個サービス。安い!!)
客家の代表的な漬物、
酸菜、福菜、梅干菜。
いづれも芥子菜を使った漬物で、塩漬段階、乾燥具合によって呼び名が異なる。出発点は同じだけどそれぞれ異なる食味と食感が楽しめる。
客家の漬物は色々あるけれど、どの漬物も古漬けになればなるほど味わい深いとされ好まれる。中には何十年ものという漬物もある。
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瓶詰めをして販売している。
客家の漬物は塩漬け発酵したものを、更に干し乾物にするといった独特の手法を多く用いる。梅干菜もその一つ。年中湿度が高い台湾では水分量が高いと雑菌の繁殖リスクがあったので、長期保存をするために育まれた発酵文化の一つである。
客家名物の豆干や菜脯(切り干し大根)も同じく塩漬け後の乾物で長期保存を可能にした保存食。菜脯を使った菜脯蛋という台湾切り干し大根の卵焼きは客家の家庭でよく食べる定番料理の一つ。保存している発酵食は上手に少しづつ様々な料理へと形を変えながら毎日の食卓に上がる。
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豆腐乳(腐乳)は豆腐に麹をつけ、塩水中で発酵させた中国食品。妻の実家で義父が真っ黒に近い色味まで熟成している年代物の腐乳を奥から出しくれた。食べたらとても濃厚で熟成されていて美味しかった。
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塩漬乾燥インゲン豆のスープ。
優れた保存食が多い客家の食には漬物の他に乾物がある。乾物を利用したシンプルだけど深みある味わいに食が進む。
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円卓を囲み家族みんなで食べる。人数が多い方がたくさんの種類が食べれるから幸せ。
客家名物の薑絲大腸は酢でさっぱりとした味付けがとても美味しかった。
客家料理にはタケノコ料理も多い。タケノコの種類や部位によって料理法がたくさんあり、日本でも馴染み深いメンマは客家を代表するタケノコの発酵食である。
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台湾に行くと毎回食べる客家の家庭の味。白玉団子のスープ。妻の家族は春節には必ず食べている。
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客家名物の米麺。この板状の麺を好みの大きさに切って料理する。汁麺にしても炒めても良し!
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お婆ちゃんは子供時代はこの服を着ていたと言っていた。日本だと大正時代のこと。
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感恩と書かれていた。
意味は感謝。
湖口老街を歩き、
客家料理を食べて、
満足の一日。
一口に客家と言っても、
台湾という小さな島においても地域で少しづつ違いがある。
かつては住む場を遠隔地やあまり恵まれてない場所に余儀なくされてきた。
そんな事もあって、
移り住んだ先で、
その場、その場に対応する能力が秀でた。
新しい食を見出し、
新しい食文化が生まれた。
そんな適応力の高さが、
地域による違いを生む。
面白くて奥が深い。
そして、学ぶことが多くある。