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ペリン・ビュフォードという男

初めまして、やくもと申します。Bリーグ初年度頃から島根スサノオマジックのブースターやってます(初観戦はbj最終年度の開幕戦@旧松江総体、本格的に応援し始めたのは2016-17の昇格を決めた伝説のプレイオフあたりですかね)。普段長い文章なんてなかなか書かないので相当な拙文だとは思いますが、読んでいただけるととても嬉しいです。

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2020年7月13日にペリンが島根と契約した際、正直に言うとその経歴から私は懐疑的な目を向けていた。

2016年にプロキャリアをスタートさせてから5年間で計7つものチームを渡り歩いている、いわゆる"ジャーニーマン"だったからだ。所属していたチームの1つからは「チームにコミットしていない」と批判的な評価も受けていたようで、果たして彼はチームにフィットするのだろうか、周りのメンバーと上手くやれるのだろうかと不安な気持ちでいた。

シーズン前半戦、ペリンはプレー面においてその持ち味である突破力を武器にチームを牽引していた(さすがは外国籍のスカウティングに定評のあるスサマジブランドだなと感心したものだ)。しかし一方で、試合中にチームメイトに対して強く何かを主張する姿がたびたび見受けられ、私は前述の通りそういった"チームの和"の面でポジティブな印象を持っていなかったため、不安は募るばかりだった。

11月15日の大阪戦を最後に、ペリンは怪我による長期離脱を余儀なくされる。するとチームは12月2日の三遠戦に2点差で辛勝するものの、そこから泥沼の8連敗を喫することになる。チームの不調に加え、自らは試合に出ることすら叶わず、悔しい思いでいっぱいだったに違いない。その状況に、ともすると思わず腐ってしまいそうになったかもしれない。しかし、ペリンは違っていた。

GAORA SPORTSにて放送された「スサノオノミカタ」を見て、ペリンの印象が大きく変わった方は多いのではないだろうか。私もそのひとりだ。年末の横浜戦、8連敗となってしまったゲーム1後のロッカールームで、語気を荒らげながらもチームを鼓舞するペリンの姿があった。

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このスピーチを一目見ただけで、ペリンが心底チームのことを考えているのが伝わってきた。シーズンを終えた今思うと、彼はいつだってそうだった。自らの素晴らしいプレーに対するインタビューを受けても、真っ先に口をついて出てくるのはチームのこと。

僕がビュフォード選手をすごいと思うところは、いい意味で助っ人外国人という感覚がないと言いますか、外国籍選手と日本人選手というところの境目がないんですね。一般的には外国籍選手というと俺が俺がとなりがちなところはありますし、自分が止められるともうひとりの外国籍選手を探しがちになるのですが、彼の場合はそこがもう本当にシンプルにスマートにいまは誰がオープンなのかといった観点でプレーしています。

ある試合のインタビューで、河合HC代行がペリンのことを評した言葉である。まさにその通りであり、そしてこれはペリンがチームファーストでプレーしているからだとすんなりと理解できるのだ。

そしてペリンのことを私が"推す"ようになるとどめを刺した試合があった。2月26日の渋谷戦を現地観戦していた私の目の前で、彼は30分出場し30得点16リバウンド、3ポイントは3/3のモンスターパフォーマンスを見せる。オーバータイムのこのワンプレーはスサマジブースターの記憶に一生刻まれるだろう。

(グラウンドレベルで見ていたのだが、最初杉浦がパスミスをしたと思ってしまった。杉浦ごめん)

試合後、選手たちが引き上げていく動線の真横にいた私は彼に向かって、彼が3ptを決めた時によくするOKサインを頭に突き刺すしぐさをしてみせた。すると何と、彼はニヤッと笑顔を見せながらそのポーズを返してくれたのだ。コート上ではなかなか笑顔を見せず、黙々とプレーしている彼がだ。もうこんなの惚れるやろ。(ちなみにニカにもハートマークを送ったら返してくれた。ニカちゃんありがとう)

その後の試合でも彼は獅子奮迅の活躍でチームを引っ張ってくれた。得点、アシスト、ディフェンス、リバウンド、そしてキャプテンシー。観客を魅了する絵になるプレーも多かった。トリプルダブルもやってのけた。シーズン最終盤の8連勝を含むチームの好調は彼なしには語れないだろう。

2021年6月15日、スサマジブースターにとって願ってもないニュースが舞い込んできた。ペリンの契約継続のリリースが発表されたのだ。公式ツイッターは祝福と期待のリプライや引用ツイートで溢れかえった。今や彼のことを懐疑的に見る余地はどこにもない。

彼のプレーが来シーズンも多くのスサマジブースターを虜にし、チームを勝利へと導くことを願ってやまない。いや、彼ならきっとやってくれると信じている。

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