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コロナ禍での妊娠体験記#6 妊婦とそのお腹の中の赤ちゃんは、生きてるだけですごいし、えらい

こんにちは。妻のショウガです。
最近はめっきり寒くなり、師走らしくなってきましたね。今年もあと1ヶ月だと思うと、時の流れが早すぎて驚きます。

さて、今日も妊娠にまつわる体験記を綴っていきたいと思います。
妊娠して、いわゆるの安定期に入った頃から、この体験記を書き始めたのですが、単純な妊娠の記録だけでなく、妊娠しなければわからなかったこと、気がつけなかったこと、考えさせられたこと、などもまとめていきたいなと思っています。

妊娠発覚の喜びの裏側で

私は妊娠が発覚してからというもの、喜びの頂点は、妊娠検査薬での陽性反応が出た当日と、その翌日くらいで、それ以降は、妊娠について調べれば調べるほど、科学的根拠がなかったり、いまだ解明されていなかったりする情報で溢れかえっていることに愕然とし、言いようのない不安に襲われました。

「何を」「どのように」対処すれば、授かった命が順調に育つのか、なぜ自分の体がここまで不調なのか、わからなかったからです。
あくまでリスク回避、こうする方が安全だと思われる、というレベルの情報の方が圧倒的に多い。

うれしさや喜びの反面、右も左もわからず、毎日を不安の中で過ごしていました。

妊娠は病気ではない

妊娠が判明してから、良くも悪くも何度も言われたり、言ったりした言葉です。
「妊娠は病気ではない」

・妊娠は病気ではないので、医療費は全額患者負担。(基本的に、妊婦検診や分娩費用等は全額負担です。行政からの補助金や、健保・雇用保険を財源とした一時金も出ますが)
・妊娠は病気ではないので、吐き気、貧血、頭痛、食欲減退・増進、食の好みの変化、むくみ、発熱、肌荒れや痒み・・等々、あげればキリがない、いわゆる〈つわり〉の症状は、マイナートラブルという言葉でくくられ、原因は解明されていない(=つまり、有効な対処策は、ほとんどない。薬もない)
・妊娠は病気ではないので、=体調が悪くなるということを理解できない人もいる。妊娠悪阻と呼ばれる、つわりの重症化した症状であっても、その程度の酷さを甘く見る人も多い
・妊娠は病気ではないので、基本的には問題なく、胎児が順調に育つと信じてやまない人がいる
・妊娠は病気ではないので、基本的には、望めば、自然妊娠ができると信じてやまない人がいる

病気でもないのに、なぜ何度も病院へ行くかと言えば、それくらい、体に対する変化があり、危険が伴うものであり、経過を慎重に観察する必要があるものだからですよね。

また、病気ではないからと言って、すべての妊娠が望まれたものであり、順調な経過を辿るのかといえば、まったく別の話だと思うのです。

お腹の中に、別の命を授かり、育てているという事実

マタニティマークを見たら席を譲ろうとか、荷物を持とうとか、そういうわかりやすいことは気をつけられていたと思いますが、私も自分が妊娠するまでは、妊婦がここまで大変な思いをしているとはまったくもって知りませんでした。

・妊娠から出産までに10か月かかるのは、そもそも母体にとっては大きな負担
・妊娠初期はつわりが酷い人が多く(出産まで続く人もいます)、安定期でやっと体調が安定してきても、後期に入ると日に日にお腹が重くなり、思うように体を動かすことができない
・食事や飲料の制限、体重管理は出産まで必要だし、場合によっては出産後も必要
・妊娠中は、薬もほとんど飲めない
・人によって程度の差こそあれ、運動制限がある
・何より、妊娠〜出産まで個人差が激しすぎる(よって、同じ妊婦や、経産婦の話が参考にならないケースも多々あります)
・自分ではコントロールの効かない、体調や心の変化についていけない

私も自分が妊娠するまでは、命を授かるということがどれだけ貴重で、その命を育むのがどれくらい過酷なことなのか、まったくわかっていなかったのです。

妊婦です、と胸を張ってみたい

妊娠初期の流産率が高いことや、時代背景もあり自然妊娠が難しくなっていることなど、自分の知識のストックとしてはありましたが、それはあくまで認識しているレベルに過ぎず、正しく理解できていたわけではありませんでした。

周りを見ても、自然に妊娠している人が多かったし、流産の話はあまり聞かなかったこともあるでしょう。
でもそれは、ただ、そういう風に伝えられていただけで、事実だったかどうかはわかりません。
「不妊治療」や「流産」に関する話を、気軽に周囲の人に話せるとは思えません。

妊娠してからの約9か月、たくさんのことを考え、悩み、迷いながら毎日を過ごしてきました。傍には、私を理解し、支えようと一生懸命になる夫がいましたが、それでも、妊娠は孤独な闘いです。
自分のことなのにわからない、コントロールできない。
誰も正解を教えてくれない。

妊娠は、よくある、ありふれた、簡単なことではありません。
努力する、注意する、最善を尽くすことが当たり前になっていて、妊娠の経過が順調でも、誰も褒めてくれないし、労ってくれるわけでもありません。
ひどい時には、「もっとがんばれ」「もっと〇〇しなくちゃ」と注意してくる人だっています。

ある日突然、妊婦が母になれるわけではないけど、世の中の多くの人は、自然と妊婦が母になれると思っているし、それが普通だと思っている。
でも、そんなはずないです。

お腹の中の赤ちゃんが10か月かけて少しずつ成長するように、私たち妊婦も、少しずつ試行錯誤を繰り返しながら、授かった命と向き合いながら、母になる準備をしていくのだと思います。

私を含め、世の中の妊婦のみなさんは、妊娠中だからと、いろいろなことを気を遣って、慎重な生活をしていますが、本当は、胸を張って、生きてるだけですごいし、えらいし、奇跡みたいなことなんだ!と言ってもいいと思うのです。

#7へ続く

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