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ホームレスが減った?

今年2024年の福祉関係資料というかパンフレットで、ホームレスの推移を見る機会があった。見る限りホームレスの人の数は激減している。実は私は以前2011年~2013年まで、某市の健康福祉局で「ホームレス自立支援推進協議会」の委員をやっていたことがある。もちろんサラリーマンの市民委員で活動していた。

そんな中で市内にあるホームレスの人のための宿泊施設に見学に行ったことや、その施設での農業作業を見せて貰ったことがあり、職員から「施設に入っても飛び出して再びホームレスになる人も少なくない」と聞いたことがある。理由は、ホームレスの「安定より自由を求める」考え方に拠るものであると言っていた。

しかし、このグラフを見る限りは、その時から比べても随分と人数が減ったことが見て取れるので、対策には効果があったことが分かり、先ずは良いことである。これは果たして、自由より安定を求めるようになったからなのだろうか?

考えられる原因は、政策が功を成したこと以外には、ホームレスの高齢化と二極化があると思える。高齢化に関しては日本の高度成長期を支えた日雇い労務者で東京では山谷、横浜では寿町、大阪では西成にいる人々が高齢化し、その後に亡くなったので自然現象として人数が減ったことが考えられる。

そして気を付けなければならないのは、日本でのホームレスの定義は「都市公園、河川、道路、駅舎その他の施設を故なく起居の場所とし、日常生活を営んでいる者」に限られているところである。日本の高度成長期を支えた人々ではなく比較的若い年代の住居難民者になると、シャワールームも完備されたネットカフェなどで過ごしているので、日本のホームレスの定義に当てはまらず数字が落ちていることが考えられるからだ。

統計結果やグラフ化されたものは、仮に政府発表であっても注意をもって見る必要があるだろう。そして時代が提供する様々なサービスの変化にも目を向ける必要がある。さらに最近では、トー横や大久保の立ん坊女子もおり、住居難民者は低年齢化しているので、もしかするとホームレスの実態は決して減っているわけではなく、世代や原因の変化を鑑みる必要があるのだろう。

そもそも「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法」は、ホームレスの自立の支援や、ホームレスとなることを防止するための生活上の支援などについて必要な施策を講じることを規定した法律で、2002年に10年間の時限立法として施行され、その後に5年間延長され、2017年まで継続されたものであるが、低年齢化や生活困難性や犯罪予防的な話はその中にはない。

よって、このグラフは安心できる情報ではなく、むしろ現実社会と乖離したものであることを理解するグラフになると思える。そして、社会はより複雑化していることの危機感を持つべきなことだと教えてくれるグラフと見なければならないのだろう。
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【記】やく・たたず(屋久 佇(竚))


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