プールでの面会交流
面会交流には、①付添い型、②受渡し型、③連絡調整型の3パターンがある。これは日本で1993年に創設された家裁調査官OB達が立ち上げた類型である。
内容は父母高葛藤ケースの①付添い型で、支援者が面会交流時間中ずっと傍に付き添って行われる。時間も2~3時間と短く、TDRなど時間を必要な所には遊びに行けず、当然のことながらお泊りや旅行は出来ない。しかし同居親の心配(別居親の連れ去りや暴言など)がある以上、付添い型になる場合がある。
父母の葛藤はあるけれど、ある程度信頼関係が再構築できて来たら、②受渡し型に移行する。もちろん最初から葛藤が無い場合は父母双方の同意があれば②受渡し型からスタートするケースもある。待ち合わせ場所や交流場所の連絡や調整をして、実際その場所に立会い子どもの受渡しを行うものになる。父母間でコンタクトをしなくてもよく、受渡し時に相手の顔を見なくて安心という状態で行われる。そして支援者が付き添わないので終日など長時間対応も可能となる。
③連絡調整型は、受け渡し場所と交流場所の調整をするだけで、父母のやり取り不要で調整と連絡を整わせる。支援者が当日その場に行くことはない。旅行やお泊りや、長期休暇時の対応もできるようになる。ここまでくれば、もう少しで面会交流支援から父母が卒業する日も見えてくるかもしれない。
ある面会交流ケースのお話を弁護士から聞いた。
その親子は日本では珍しく父親が子供を育てていた。面会交流はされていたが、弁護士が立ち会いの状態で付き添っていた。あるとき、場所はプールで、女性弁護士は自分も水着姿になるのはイヤだと思ったが、当事者の傍で付き添わなければならないので、プールの中に入らなければならない。
母親と子どもがプールで交流していたが、その場に父親も同席する形で始まった。いわば父親の監視である。同居の父親が子供を洗脳しているのは弁護士は分かっていたので、うまく交流ができるかなぁと思っていたとのこと。
弁護士は泳げないので、浮き輪を付けて子どもと母親の近くにプカプカ浮いていた。子どもが弁護士の方を見て「このオバサンは何をやっているのだろう」などと思い、弁護士を見てクスっと笑ったという。その表情を見逃さなかった弁護士は、まだ完全に洗脳され切っていないし心を閉ざし切っていない、今の内なら母親に心を開かれるかもと感じ、監視する父親に「少し席を外して欲しい」と伝え、父親も素直に受け入れたと言う。
父親の監視の目がなくなり、弁護士から「お母さんと遊んでいいんだよ」と言うと、子どもは涙を流し母親との面会交流を満喫したと言う。母親もさぞ嬉しかったことだろう。このような同居親がいるから、付き添っての面会交流をせざるを得なくなり、そして子の福祉にとって必要なこととなる。
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【記】やく・たたず(屋久 佇(竚))