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夫婦の財産とは

夫婦の財産とは、婚姻後に夫婦が協力して築いた財産であり、共有財産であると一般的には言われている。
具体的には婚姻後の預貯金や金融資産(有価証券や保険など)、自動車、家財、貴金属、不動産などが対象となる。協力して築いた財産とは、分かりやすく言えば専業主婦の家庭で、夫が働き家族の生計を立て、妻は家計を守り子育てを担い、そして家事全般を切り盛りするといった1960年代くらいまでの日本の家族事情をイメージすると分かりやすい。

それに反して、夫婦別産制という考え方もある。
婚姻前から有する財産は当然ながら、婚姻中に夫や妻が個人として自己の名で得たもの(給与や報酬や相続など)は、それぞれの特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産)とするのを夫婦別産制という。但し、夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、夫婦共有に属する財産と推定される。これが民法762条の「夫婦における財産の帰属」の解釈となる。

と同時に、婚姻費用(婚姻中の生活費全般)の分担とは、「夫婦はその資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する」ことであり、例えば夫婦仲が悪くなり別居すると、双方の収入を合算し同等の生活が送れるように、収入の多い方から少ない方に分担して支払うというものになる。

弁護士とは因果な商売で、依頼者の有利になるための活動を積極的にやらなければならない。そのためにはかなり強硬な行動を取る場合も無きにしも非ずである。
例えばこんな話を聞いた。離婚を考えている夫が、財産分与のために妻の収入や貯金通帳その他の資産の開示要求をしたが、妻は離婚に同意していないので開示する必要がないし、開示要求に応える必要が無いと思っている。

それに対して、夫の弁護士は夫婦共有財産なので開示する義務がある!と強く主張するものの、妻側は夫婦別産制なので応じる義務がないと主張し、話し合いは平行線のまま何も進まない。裁判所の考えは共有財産の考えを基本としながらも夫婦別産制も認めるので、妻へ財産開示命令を出すことはない。

開示に関しては自発的なものであり、強制は裁判所としてもできないという立場を取るようである。必要であれば、開示を要求する夫側が自力で、妻の財産を調査するしかないが、現実的にはなかなか難しいと思われる。
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【記】やく・たたず(屋久 佇(竚))

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