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カート・ヴォネガットーはじめて小説が売れた時の手紙
父の日に寄せて。
小説家、カート・ヴォネガットは、最初の短編小説「バーンハウス効果に関する報告書」が掲載されることが決まったとき、父親に宛てて手紙を書いた。
ここ何年かで彼の身の回りに起こった出来事の中では、彼と父にとって、このうえない誇らしいニュースだった。彼が職業作家になる前夜。私書にも、ニヤリとさせるヴォネガットの"芽"が垣間見える。
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おやじ様ー
はじめての短編小説がコリヤーズ(米出版社)に売れました。きのうの昼、小切手が届きました(750ドルマイナス版権代理人の手数料10パーセント)。あとふたつの短編が近いうちに売れる見込みです。
どうやらぼくも芽が出かかったようです。最初の小切手は積立預金に入れることにしました。つぎのがまた売れたら、ゼネラル・エレクトリック社の給料の一年分がたまるまでつづけていくつもりです。もう四篇売れたら、目標額に達してお釣りがくるので、現金の余裕もできるでしょう(我が家では絶えて無かったことです)。そのあかつきには、このいまいましい悪夢の会社勤めをやめ、これからの一生、神に誓って、二度と就職はしません。
ここ何年かぶりにぼくは幸福です。愛する息子より。