暮らしの薬学【からだ用洗剤・洗浄編】~③シャンプー、リンスの選び方と使い方
シャンプーやリンス、コンディショナーはどのように選んでますか?
同じ銘柄で併せているとか、CMで宣伝しているとか、特売していたから・・・とか選択基準はさまざまですね。選択基準に参考になることと正しい洗髪の方法について解説します。
成分を調べて自分に合ったシャンプーを探そう!
シャンプーの洗浄成分(暮らしの薬学【からだ用洗剤・洗浄編】②成分と働き)により頭皮の皮脂などの汚れを落としますが、同時に「毛髪をケアする」、コンディショナーと同じような働きをする成分で油分をある程度残して髪を保護する保湿成分も入っています。自分に合うのはどの洗浄成分で保湿成分かを探していきましょう。
まず、頭皮の乾燥やダメージヘアに悩む人は、洗浄成分、つまり界面活性剤は、「硫酸系」(ラウレス硫酸Naなど)よりも「アミノ酸系」(ココイルメチルタウリンNaなど)や「ベタイン系」(コカミドプロピルベタインなど)が主体のものがよいでしょう。敏感肌用シャンプーには「アミノ酸系」が配合されているものが多く、赤ちゃん用には目に入ってもしみない「ベタイン系」がよく使われています。逆に、これらの界面活性剤に比べ「硫酸系」は刺激が強いですが、洗浄力・泡立ちがいいので、皮脂が多い人や整髪料を使う人には適しています。なお、洗浄成分はいくつか複合して配合されているので、どの系の洗浄剤(界面活性剤)が主体なのかを成分表示でチェックするといいいでしょう。(成分は、医薬部外品を除き、成分量の多い順に全成分を記載することが薬機法で決められています。)
次に、髪を保護する保湿成分(水溶性ポリマーやシリコーン系ポリマーなど)ですが、この成分は、すすいだ後でも髪をコーティングするようにできています。ただ、毛髪部分に残っているのであればいいのですが、頭皮に残ってしまうとかぶれる恐れがあります。敏感肌で、頭皮や生え際がかゆくなりやすい人は、「無添加シャンプー」がお勧めです。何が「無添加」なのか、はっきりした定義はありませんが、保湿成分、コーティング剤が少ないシャンプーです。逆に、洗髪後のギシギシや枝毛などのダメージが気になる人は、これらの成分が入っているものを選ぶといいでしょう。
さて、正しいシャンプ―の仕方とは、どんな洗い方でしょうか。結論から言って、「髪にダメージを与えない洗い方」です。順番に洗髪方法を説明します。
シャンプーの仕方
① 髪をブラッシング(長髪の人はもつれをほどく)
② ぬるま湯を後頭部からかけてすすぐ(整髪料はこの段階である程度おとす)
③ シャンプーを手に取って湯を足して泡立て後頭部からつける
④ 地肌をマッサージするように洗いながら全体に広げていく(洗う時間は2~3分でOK)
⑤ 後頭部からぬるま湯ですすぐ
⑥ コンディショナーは頭皮に余りつけないように毛先を中心につける(頭皮に残さないように)
⑦ ぬるま湯を後頭部からかけてよくすすぐ
⑧ 軽く水気をとって、タオルなどで髪を包む(髪どうしをこすり合わせないように注意)
Q. ノンシリコンシャンプーの“シリコン”って何ですか?シリコンが入っていないほうがいいシャンプーですか?
シャンプーやコンディショナーの特徴として「ノンシリコンだから頭皮に余分な負担をかけない」と表記されているものをよくみかけます。ここに表記されている“シリコン”とは実は“シリコーン”のことで、「シリコン=ケイ素」とは別物です。ここではシリコーンと表記して説明します。
シリコーンは毛髪表面をコーティングし、指通りを滑らかにする保湿・潤滑剤の働きをする成分で「ジメチコン」「アモジメチコン」などがあります。これは微量でその効果を発揮するのですが、ただ多量に配合されていると“毛穴を塞ぐ”可能性もあり、前述のように「頭皮に余分な負担をかける」と言われるわけです。また、髪の表面をしっかり保護するので、ヘヤダイやパーマなどの薬剤が浸透しにくいため、そのような施術前数日間は「シリコーン入りシャンプーやコンディショナーを避けてください」と言われることから、「シリコーンって髪によくないのでは?」「ノンシリコンシャンプーのほうがいい」と言った誤解が生じたようです。
もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書
●メンズ向け育毛シャンプーおすすめ10選|髪&頭皮ケアに最適な人気ランキング
<参考図書>
『化粧品成分事典』
『美容皮膚科医が教える大人のヘアケア再入門』
『よくわかる最新洗浄・洗剤の基本と仕組み ー 水系・非水系洗浄、機械的洗浄の基礎知識』
『賢い化粧品の選び方 ―スキンケアの正解は、成分でわかるー』
*****
<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。