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暮らしの薬学【からだ洗剤・洗浄編】~④洗顔、ボディソープ、ハンドソープの選び方と使い方
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ミズホ「子供たちが自分専用の洗顔フォームを持ちたがるようになって、我が家の洗面所には洗顔フォームがいっぱい・・・。一つにまとめられないかな…」
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洗顔、ボディソープ、ハンドソープの選び方と使い方
通常、体と顔を洗う洗剤は別々のものを用意していますよね。またミズホさんのおうちのように、女の子や男の子、またお母さん、お父さんとMy洗顔フォームを用意しているところも少なくありません。こんなにいろいろな種類があるとどれを選べばいいか迷いますよね。
体を洗うボディソープは、その洗浄成分(暮らしの薬学【からだ用洗剤・洗浄編】②成分と働き)により体の汗、肌の汚れ(アカや剥がれた角層)、ほこりなどを落とす役割があります。体を清潔に保つために重要な働きをもっていると言えますね。固形の浴用石鹸にくらべ、液体のボディソープの場合は、いろいろな添加剤を入れることができるので、爽快感アップのためにメントールを、乾燥から肌をまもるためには保湿剤、いい香りを残すための香料などが配合されていますので、肌の状況や季節、好みに応じて成分を確認して選ぶといいでしょう。
洗顔フォームの場合も、泡立ちの質をよくしたり、保湿効果、スキンケア効果、または美容効果をもたらす成分、角質除去効果のある成分などを溶かして配合できるため、老若男女それぞれに、また肌トラブルのある人向けには、効果効能をもつ医薬品成分が入ったもの(医薬部外品)などさまざまな特徴をもった商品があります。
しかし、洗顔の基本はどれも界面活性剤で汗、皮脂汚れをスッキリ落とすことであり、使用した洗顔料もしっかりと洗い流すことが重要です。洗顔後は皮脂だけでなく肌表面の保湿機能を低下させる場合もありますので洗顔後のスキンケアも重要ですが、今回は正しい洗顔方法についてだけ説明しましょう。洗顔後のスキンケアに関しては、暮らしの薬学【からだ用洗剤・ケア編】で詳しく解説します。
正しい洗顔法
① ぬるま湯で顔表面の大まかな汚れを落とし、毛穴をゆるめておく。
② 洗顔料をよく泡立てて、ふわふわの泡で肌に付着した皮脂や汚れを包み込むようにします。
③ 脂っぽい額と鼻筋のTソーンから泡をつけていきます。
④ 次に頬やあご、顔全体に泡をのばしていきます。
⑤ ごしごしと力を入れず、泡をもこもこさせながら2~3分洗います。
⑥ ぬるま湯ですすぎます。泡を残さず、しっかりと洗い流します。
⑦ 仕上げに冷水で洗って肌を引き締めます。
⑧ 柔らかいタオルでごしごしこすらず、ポンポンと押さえて水分を拭きとります。
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Q.洗顔フォームやボディソープの“弱酸性”ってなぜいいの?
健康的な人の肌の表面は弱酸性(pH4.5~6.0)を示し、皮膚表面の細菌の増殖を防いでいます。弱酸性の洗顔料は肌の状況に近いため、刺激が少なく、負担がかかりにくいと考えられています。「敏感肌向け」や「低刺激」というキャッチコピーのあるボディソープや洗顔フォームには“弱酸性”が多くみられます。ただ、弱アルカリ性の洗顔料は洗浄力がすぐれているのでしっかりと皮脂を落とすことができ、洗い上がりのさっぱり感が高く、皮脂が多い人にはお勧めです。そうは言っても弱酸性の肌に弱アルカリ性の洗顔を使うのは大丈夫なのかと心配になりますが、皮膚(皮脂膜)には、自然にそなわったアルカリ中和能があり、外からアルカリに接触した場合に自浄的に中和するので洗顔後、自然に弱酸性に戻りますので問題ありません。
弱酸性なのか弱アルカリ性なのか見分けるためには、成分表示を確認しましょう。固形タイプは、基本的に弱アルカリ性です。液体タイプ(ボディソープ、洗顔フォーム)では、「ココイルグルタミン酸Na」や「ココアンホ酢酸Na」などの界面活性剤が使用されていれば、弱酸性のものが主流になります。また「クエン酸」や「乳酸」などの酸性に傾けるpH調整剤が配合されているものも弱酸性である可能性が高いです。「弱酸性」のほとんどのものは、パッケージに「弱酸性」と表記されているのでわかりやすいですね。
もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書
●洗顔後に顔がヒリヒリする!原因と対処法を知って状態を改善(肌育研究所)
●敏感肌の洗顔で大切なこと(NOV)
●「弱酸性洗顔料」の特徴とは?おすすめアイテム&選び方のポイントも紹介(LIPS)
<参考図書>
『化粧品成分事典』
『トコトンやさしい化粧品の本 第2版』
『美しい女性のボディケア ー すべすべ美肌に生まれ変わる』
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<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。