自宅に薬を届けてもらえる在宅医療サービスの料金は?~薬局とお金の話⑱
在宅医療と言えば、病院へ通うことが困難な方が医師に往診してもらうイメージをお持ちの方が多いと思いますが、そのとき処方される医薬品を調剤薬局が自宅までお届け・薬の説明を行い飲みやすいようにセットするというサービスがあります。
今回はこの薬剤師による在宅医療「居宅療養管理指導」の概要と料金について薬剤師でありファイナンシャルプランナーでもあるgorisanができるだけ分かりやすく説明させて頂きます。
居宅療養管理指導を利用するためには調剤薬局と契約を行う必要があります。ただしこの契約は、必要がなくなればいつでも解約できますし、定額料金などもありません。逆に薬局側の都合で急に解約されないための契約だと考えてください。
契約時には薬剤師が自宅または介護施設などに訪問し、本人または後見人に対して重要事項説明を行います。このとき、担当薬剤師・訪問日時と頻度・処方せんの受け渡し手順・利用料金などの説明が行われますのでしっかり説明を聞き、分からないことがあれば契約前にちゃんと聞いておきましょう。
契約が完了すれば、次回から薬剤師がお薬を配達・服薬指導(薬の説明)をしてくれます。基本的には一回に飲む薬を一袋にまとめて(一包化)、投薬カレンダーにセットする(1~4週間分)というのが一般的です。
これは認知機能が低下している方や高齢者を想定したパターンなので、身体が不自由で認知機能がしっかりしているのでカレンダーへのセットが不要など個人個人に合わせて薬局側が対応する形になります。
<利用料金と保険の種類>
居宅療養管理指導の利用料金は、居宅への訪問に関わる費用+医薬品調剤に関わる費用の合計です。医薬品調剤に関わる費用は保険の種類によらず一定ですが、居宅訪問に関わる費用は保険の種類と訪問宅の人数によって変わります。
保険の種類とは、介護保険または医療保険のどちらを使って居宅療養管理指導を利用するのか?ということです。負担割合だけでなく、保険制度によって居宅療養管理指導にかかる費用が異なるからです。
在宅を希望される多くの方は介護認定を受けている方がほとんどなので、居宅療養管理指導を利用している9割以上の方が介護保険を使っています。これは介護保険を利用したほうが安くサービスを受けることができるためです。
また訪問宅の人数とは、単独または複数人あるいは十数人以上が居宅療養管理指導を利用しているか?という観点によって決定されます。介護保険を利用した場合の具体的な自己負担額は以下の通りです。
1人の場合:517円
2-9人の場合:378円
10人以上の場合:341円
この金額が訪問ごとにかかります。算定するためには7日以上の間隔をあける必要がありますので毎月最大2000円くらいになります。ただし体調の急変などにより臨時処方があった場合は追加料金が発生することもあります。
他にかかるのは医薬品調剤に関わる費用なので、在宅サービスは実質2000円/月で受けることができます。薬局に薬を取りに行くのか、この料金を支払ってでもサービスを受けたいと思うかは人によって違うと思います。
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しかし勘違いして欲しくないのは、どちらが得かと考えるような人は基本的に在宅を利用する必要が無いということです。往診や在宅は医師や薬剤師にとっては非常に時間のかかる仕事です。そのため普及すればするほど医療現場での人員は不足します。
そして現状、医師が必要と判断した場合のみ在宅を行うことができるので、本当に必要としている方だけが利用できるサービスとなっています。もちろん将来オンライン診療やオンライン服薬指導をさらに普及すれば変わるかもしれません。
そのため在宅サービスを利用したいと考えられる場合は、まず医師に相談するのが最も効率が良いです。もちろん気を遣う場合はケアマネージャーや薬剤師に相談しても大丈夫ですので、本当に必要かどうか一度ゆっくりと考えてみてください。
<この記事を書いた人>
gorisan
地方の小規模チェーン調剤薬局の薬剤師。薬剤師歴12年。3児の父。認定実務実習指導薬剤師。FP技能士3級。