暮らしの薬学【殺虫剤編】~②害虫の種類と生態、防除方法を知ろう!
前回は、害虫による感染症などから身を守るために、生活環境の中で害虫を防除する必要性について説明しました。
今回は駆除対策の基本として、駆除したい害虫の種類とそれぞれがどんな行動をしているかの生態を知って頂きたいと思います。
害虫の種類
私たちの身の回りにいるいや~な虫を不快害虫と呼んでいます。その中に、虫、ハエ・蚊・ゴキブリ・ダニ、これらは人と動物の疾病に関係している害虫なので衛生害虫と呼んでいます。ネズミは虫ではないですが、不快害虫と呼んでいます。また、衛生害虫や不快害虫そして衣類を食害する虫を合わせて生活害虫と呼んだりします。
害虫の防除方法
害虫の駆除にはもちろん殺虫剤ですが、まずは、害虫を発生させない方法ついて。表にまとめたので参考にしてください。
さらに害虫ごとにその生態の特徴をとらまえて、それにあった対策を練ることが大事です。例えば、チリダニ(ぜんそくやアレルギー性鼻炎のアレルゲンといわれている)は、一般的なダニ駆除剤の効果が得られにくく、ツメダニ(チリダニをえさにして繁殖する)は、薬剤による駆除はほとんど期待できないと言われています。また、イエダニはピレスロイド系の殺虫剤で効果が得られるものの、ネズミにくっついているので、ネズミ駆除も同時に行わなければなりません。
ネズミ駆除の場合は、まず、どのようなネズミが生息しているのか見極める必要があります。家屋に多いのは、知能があるといわれているクマネズミと前述のイエダニをくっつけているドブネズミの2種類があります。クマネズミは警戒心が強く、捕獲も難しいので、家屋への侵入を防ぐことが何よりも重要です。どちらも“ラットサイン”といわれるネズミの足跡が柱や配水管などに見られますから、それをたどって進入口を特定してください。そこに殺鼠剤やトラップ(捕獲)を仕掛けます。
防除法
ハエ
ハエ叩き、エアゾール系殺虫剤、ハエ取りリボンなどで十分対処できますが、ハエは飛来してきますので、生ゴミは密閉性の高い容器入れ一週間以上放置しないように。また蒸散型のピレスロイド剤も有効です
蚊
水はけの悪いところ、雨水が溜まるところが蚊の発生源になりますから、日ごろの清掃管理が大切です。蒸散型のピレスロイド剤や蚊取り線香が有効です。
ゴキブリ
残飯はきちんと片付けて清潔に保つこと。ゴキブリが出現したら、殺虫エアゾールで直接噴霧します。そしてその場所に誘引剤付ゴキブリ捕獲器、ベイト剤を配置し、潜んでいるゴキブリを退治します。
ネズミ
残飯は蓋つき容器にいれ、未使用の食品は格納します。そして餌を仕掛けたトラップ(わな)をネズミの走行経路に設置したり、殺鼠剤を置いたりします。夏季に殺鼠剤を使用すると死んだネズミが腐敗し悪臭やウジの発生原因になるので、冬時期が好ましいでしょう。
Q.コウモリが窓の戸袋に住みついています。
Q.コウモリが窓の戸袋に住みついています。見た目が気持ち悪いので駆除したいのですが。
A.コウモリは、ガや羽ありなどをエサにする生き物で害虫ではなく益獣になります。スズメバチの巣などは、地域の保健所が駆除してくれる場合がありますが、コウモリは、益獣なので駆除していただけません。対策としては、コウモリは夜行性で夜に外へ出かけていくので、出払った隙に、刺激臭の強い忌避剤、燻煙剤などの殺虫剤を戸袋の中に投入し、さらに出入口を塞いでおくといいでしょう。
もっと勉強したい人に~参考リンク・参考図書
<参考図書>
▼衛生害虫、不快害虫、ペット害虫・・・『家屋害虫辞典』
▼ゴキブリの生態・・・『衛生害虫ゴキブリの研究』
▼ネズミ(ラットサイン)・・・「ネズミと害虫退治の科学」
▼ダニ(ダニが好んでいる場所)・・・「ネズミと害虫退治の科学」
<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。