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暮らしの薬学【プロローグ】~近所の商店街にある薬局の薬剤師ナナコさんは、いろんなことを教えてくれる。

近所の商店街にある薬局の薬剤師ナナコさんは、いろんなことを教えてくれる。

薬剤師だから治療薬の専門家なのは当然だが、洗剤やシャンプー、ボディソープや歯磨き粉とか、防虫剤や殺虫剤まで、普段の暮らしの中で使う日用品についても、薬剤師ならではの視点で、選び方、使い方を教えてくれる。
確かにどんな日用品にも化学物質が使われていて、多くの人がそうであるように、私もまた無頓着に使っていたし、教えてもらったあとで分かることだけど、結構間違っていた事を知った。

現代社会には様々な情報が溢れている。
特に薬や健康に関わる情報には賛否は本当に多い。
「医者から出される、本当は飲んではいけない薬」
「化学薬品を使うのを止めて健康を取り戻す」

ネットにはこういう情報が流れているし、職場とかママ友とかの中にも色んな意見を持つ人がいて、私が考えもしなかったような話が飛び出すこともある。
(その意味では、コロナによってかなり極端に意見の分断が丸見えになった)

混迷の時代、正解を持っているのは、きちんとした知識を持った信頼のできる専門家だ

これから、このnoteで、薬剤師のナナコさんが教えてくれる暮らしに役立つ日用品や薬にまつわる情報を紹介していきたいと思う。

私は「薬局活用ガイド」編集部のミズホと申します。
埼玉県某市の少し田舎っぽい町で暮らす、二児の子育てをしている40代の女です。
私がナナコさんとの出会ったのは、子育て中の薬のトラブルのことがきっかけだった。

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下の子がまだ幼稚園の年少の頃だから5、6年前か。
夏なのに風邪で熱が出たので小児科に行った後で、隣の調剤薬局(A薬局としよう)で薬を出してもらったんですよ。いつもと同じ解熱剤と、鼻水を止める薬でした。

その日、幼稚園も休み、自宅で薬を飲ませて寝かせていたら、しばらくしたら吐いてしまったんです。
なんか苦しそうだし、私も気が動転して、もしかしたら飲んだ薬のせい?
もしかしてこれが副作用ってやつか!?と思ってA薬局に電話して症状を伝えたんです。
でも薬局の人は全然要領を得なくて、「心配ならもう一度主治医に確認されたらどうでしょう?」と返されただけでした。
こういうことってよくあることじゃないの?もっとちゃんと安心できる答えを期待してたのに、薬局ってその程度?

「薬 子ども 吐く」とか、検索しても情報がありすぎて何が正しいか分からないし・・・
すごく喉が渇いたっていうから、ダッシュで商店街にある薬局に行った。
ポカリスエットを買おうと思って。

レジで対応してくれた女性の名札に「薬剤師」って書いてあったので、
「他所の薬局でもらった薬の話だけど、お聞きしていいですか?」って。
そして、テン君(息子の名前です)が薬を飲んだ後に吐いてしまった話をしたら、

「寝てその後しばらく経ってからだから、飲んだ薬は吸収されているし、そのまま様子を見て大丈夫だと思う。OS-1が飲めるようだったら少しずつ飲ませてみて」と言ってくれた。
なんだろう、こういう、何気ないことだけど言葉一つだけで本当に安心した

薬剤師には色々な仕事があるからさ、相談するだけは無料だから、病院の処方箋が無くてもなんでも聞きに来なよ」。
そう、優しく声を掛けてくれたのがまず意外だったのと、テンのことが心配でずっと不安だった気持ちが緩んで、涙が出そうだった。

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これがナナコさんとの出会い。
(それにしても、初対面だったのにナナコさんはこういう、遠慮しない喋り方だった。)

そのときに気付いたのは、薬局にも当たりはずれがある、ということ。

私たちはママ友とかの情報やネットの評判を見て病院を選ぶけど、薬局は自動的に、その隣の薬局に行ってしまう。
でも、本当は薬局も選ぶべきなのだ。
(これは、「薬局活用ガイド」のテーマでもある)

それからは、いつもの小児科にかかったあとも、処方箋はマツダイラ薬局(ナナコさんの薬局の名前だ)に持っていくようになった。

マツダイラ薬局は、店内の半分が調剤薬局で、もう半分は市販薬や日用品の売場になっている。
ここで日用品を買うときに、実はナナコさんが実に色々なことを教えてくれる。

ナナコさんがスゴいのは、薬のことだけじゃ無く、店に置いてある洗剤やシャンプー、ボディソープや歯磨き粉とか、防虫剤や殺虫剤まで、普段の暮らしの中で使う日用品についても、薬剤師としての専門知識でアドバイスしてくれることだ。

私はけっこうやらかす。

・衣装ケースの中で防虫剤が溶けて大事な白い服が汚れてしまった事件
・中学生の娘が、休日に渋谷に遊びに行くときにカラコンを付けているうちに目に細菌が繁殖した事件(怖!)
・石鹸と洗剤事件

などなど。
色々やらかしそうになったときにナナコさんがアドバイスしてくれて助けてくれた。

実は普段自由に買える商品にも化学物質が使われていて、多くの人が無頓着に使っている現実がある。
ナナコさんが時折放つキラーワードは「薬剤師は町の科学者」。
科学者は大きな企業の研究所だけに居るのではなく、どんな町にも、薬局には科学者がいる。

この連載では、そんな町の科学者が教えてくれた、薬局で売っている色々な商品の正しい使い方についてお話しします。
知っておくと役に立つ話です。

<この記事を書いた人>
ミズホ
「薬局活用ガイド」編集部員。埼玉県在住。中2の長女、小4の長男の子育てをする二児の母。最近はリモートワークなので通勤しなくてとても楽。

<監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。