花粉症で鼻もかゆい!ヒドい鼻水!~薬剤師が本音でオススメする市販薬⑪
薬の専門家である薬剤師におススメの市販薬をセレクトしてもらうこのコーナー。
花粉症対策ということで、前回の点眼薬に続き、今回は点鼻薬です。
いよいよこの季節ど真ん中に突入ですね。花粉が飛んで症状が酷い… とお悩みの方も多いと思います。
耳鼻科クリニックの前にも長い列ができているのを見かけます。
待合室が密になるのを避けているのだと思いますが、外で待っている間にも非情にも花粉は降り注ぐ…
最近では、医療用だった薬と同じ成分の製品が次々と市販薬化されているので、診療と併せて上手く使い分けたいですね。
今回も5人の薬剤師から、オススメの点鼻薬をお聞きしました。
◎今回推薦してくれた5名の薬剤師(小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/ふらんすぴあの/ゆきつばめ ※五十音順)
*
フルナーゼ点鼻薬(グラクソ・スミスクライン)
有効成分である「フルチカゾンプロピオン酸エステル」は、炎症反応や免疫応答のシステムに直接作用。「即時相反応」のキープレイヤーである肥満細胞の数自体を減少させるだけでなく、T細胞のサイトカイン産生を抑制したり、炎症細胞からの化学伝達物質の放出を抑えることで「遅発相反応」も抑制する。
症状があるときだけ使用するのではなく、毎日1日2回使用を続けることで効果がでる。
最大4回まで使用できるが症状が改善したら2回に減らしたらよい。
使えるのは15歳以上の方のみ。
1年間に3か月を超えては使用できないので花粉症のシーズンのみ使用すると良い。
要指導医薬品なので薬剤師がいる薬局でなければ販売していません。
■おすすめポイント
今回、5名中4名がフルナーゼを推薦してくれました。
・もともと医療用の薬でしたが、花粉症の時期はこれで今まで乗り越えていたという方は病院へ行かなくても同じものが薬局で購入できるようになりましたよ。(宇野さらら)
・鼻水・鼻詰まりなどのアレルギー性鼻炎の症状が強く、内服薬では十分に改善できない方に。(小豆田くら子)
・今までの点鼻薬で効果がなくなっていた方。(日陰ましう)
・花粉症によるくしゃみ、鼻水、鼻づまりに、1日2回の使用で24時間効果持続、眠くなる成分ゼロなので、効果の高いもので眠気が出ないものと言われたらコレ。(ゆきつばめ)
*
ナザールαAR0.1%C<季節性アレルギー専用>(佐藤製薬)
■おすすめポイント
これも医療用で使われるベクロメタゾンプロピオン酸エステルが配合されている。
従来の昔からある点鼻薬は2週間以上連用すると血管が拡張し鼻水、鼻づまりがひどくなりやすい。
花粉の症状が改善しないためさらに点鼻薬を使用するという悪循環になっていたが、ステロイド配合の点鼻薬はそれがないため安心して使用できる。
メントールのスッキリした使用感が好きな方におすすめ。
(日陰ましう)
*
ナザール「スプレー」(佐藤製薬)
■おすすめポイント
ナファゾリン塩酸塩の働きにより鼻腔内の血管を収縮させ,うっ血や炎症を抑え,鼻の通りをよくします。
クロルフェニラミンマレイン酸塩の働きにより,鼻腔内のアレルギー症状を抑え,効果をあらわします。
(注意)1日6回まで使用可能ですが、3日程度使用して改善しない場合には医師・薬剤師を。
鼻づまりを早く改善したい方。ステロイドを配合しない点鼻薬を希望される方。比較的安価な点鼻薬をお探しの方に。
(小豆田くら子)
*
コールタイジン点鼻液a(アリナミン製薬)
■おすすめポイント
医療用と同じものです。3時間以上の間隔をおいて、6回まで使用できます。7歳から使用できます。局所の血管を収縮させることで効果を発揮します。
鼻閉が強い方にお勧めします。ステロイドが入っているのでしっかり効きます。
(宇野さらら)
*
ロート アルガードST鼻炎スプレー(ロート製薬)
■おすすめポイント
抗アレルギー成分2種と血管収縮成分を配合した即効性が期待できる処方設計。7歳以上から使用でき、お子さまの突発的なつらい鼻炎症状にも対応が可能。
一方で、血管収縮成分の長期連用は薬剤性鼻炎を引き起こすリスクあり。受診するまでの短期的な使用を推奨したい。
急な鼻炎症状にすぐ対処したい方に。お子さまにも使える鼻炎薬をお探しの方に。
(ふらんすぴあの)
*
ナシビンメディ(佐藤製薬)
2021年9月発売。持続型の血管収縮成分「オキシメタゾリン塩酸塩」に、抗ヒスタミン成分「クロルフェニラミンマレイン酸塩」を配合する事で、鼻づまり、鼻水、くしゃみに有効とした。成人(15歳以上)各鼻腔に1回2~3度ずつ、1日1~2回噴霧。適用間隔は10~12時間以上おき、連続して1週間を超えて使用しないこと。
■おすすめポイント
即効性と持続性があり、1日1~2回で素早く長く効く。1本で約160回使用可能。長期使用は出来ないが、効果が高く持続するものをと言われたらコレ。
(ゆきつばめ)
*
エージーアレルカットExc(第一三共ヘルスケア)
ステロイド成分としてベクロメタゾンプロピオン酸エステルを配合。ステロイド点鼻薬は、花粉症の初期療法からの第一選択薬として挙げられている(鼻アレルギー診療ガイドライン2020)。血管収縮成分を含まないため、花粉症シーズン通じて連用が可能。
■おすすめポイント
同成分の製品には佐藤製薬のナザールαAR0.1%もあるが、こちらの方がややお手頃価格で購入できる。
毎年悩まされる鼻炎症状にしっかり対策したい方に。クールな使用感が好きな方に。
(ふらんすぴあの)
*
いかがでしたか?
体の調子が悪いとき、病気かな?と思ったとき、病院に行かなくてもすぐに買って使える便利な市販薬。しかし店頭に並ぶ商品を自己判断で選ぶのは難しいことです。
自分の体質や直面している症状に適した薬を選ぶには、専門家である薬剤師や登録販売者と相談して購入するのがベストです。
この記事はあくまで参考として、薬局で専門家に相談して購入して下さいね。
監修者コメント
わたし自身が花粉症ではないので、なかなかつらさがわかりませんが、内服の鼻炎薬を使い、点眼薬、点鼻薬を併用してこの時期を乗り越えるといいのではと思います。
点鼻薬にも、血管収縮薬、抗アレルギー薬、ステロイドと、各社さまざまな配合で商品を開発しています。
自分の症状にあわせて、薬剤師等に相談して購入することをお勧めします。
<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。