クリニックで受診する場合とOTCで治す場合の比較、どっちがお得?(胃腸薬編)~薬局とお金の話⑩
前回、調剤薬局で薬をもらう場合と市販薬(OTC医薬品)を買う場合はどちらが金銭面でお得か?どのようなメリットとデメリットがあるか?を水虫薬で比較しましたが、今回は胃腸薬について比較させていただきます。
※効果効能が同一であり、費用比較のしやすい代表的なスイッチOTC、ガスター10(有効成分ファモチジン)を用いて、比較をさせて頂きます。
・ガスター10 12錠 希望小売価格1580円(税込1738円)
<クリニックを受診する場合>
クリニックで受診することで、医師の診察により症状に合う医薬品を処方してもらえることに加え、症状が重い場合は胃カメラや呼気検査などの検査をスムーズに受けることができるメリットがあります。
保険適応の場合は3割の自己負担で済み、高齢者であれば1割の自己負担です。ただし薬価だけでなく、受診料や検査料、薬局での調剤料が別途必要になります。
初診料(2280円)+処方箋料(680円)+別途検査処置費用
※2回目以降は、再診料(730円)+処方箋料(680円)+別途検査処置費用
調剤基本料1(420円)+地域支援体制加算(380円)+後発医薬品体制加算2(220円)+薬学管理料(初回は570円、2回目以降は手帳持参で430円)+調剤料(100円)+薬剤料
※調剤基本料や地域支援体制加算、後発医薬品体制加算は薬局ごとに異なりますが、今回は一般的な調剤薬局に多い上記の算定項目で計算させて頂きました。
・ガスター錠10mg 1錠18.9円(12錠では226.8円)
※ジェネリック医薬品なら10.1円(12錠では123.2円)
ただし、病院までの往復と待ち時間、薬局での待ち時間を考えると、数時間はかかります。病院によっては予約が必要なので、予定を合わせる必要も出てきます。この時間が最大のデメリットです。
<ドラッグストアや通販で購入する場合>
ドラッグストアや通販で購入する手軽さが最大のメリットです。ドラッグストアでも薬剤師または登録販売者に相談すれば適切な医薬品を選ぶことができます。通販なら外出せずともネットですべて完結してしまいます。
OTCに使用されている有効成分は医療用よりも種類が少ないですが、漢方成分をうまく配合しているものもあり、バリエーションは非常に豊富です。特に胃腸薬は品揃えがよいので便利です。
胃腸関連疾患は軽度であれば、受診しても初回は問診と投薬のみというケースもかなりあるので、まずはOTCを試してみてダメなら受診するという流れが効率的かもしれません。
<実際に費用比較してみよう!>
胃腸関連疾患の治療は軽度であれば1~2週間で完治します。逆に中等度~重度であれば医療機関での治療が必須となりますので、今回は1~2週間で比較したいと思います。
OTCのガスター10は1箱12錠入りなので2箱24錠で12日間(1日2回朝夕食後)治療できます。これで完治しなければ医療機関を受診すべきです。もちろん症状によっては早めに医療機関を受診してください。
クリニックを受診する場合は、この間2回は最低でも受診することになるので、初診料+再診料ですね。薬局は薬学管理料が570円+430円で計算すると以下のようになります。※今回は3割負担で計算しています。
(クリニックを受診する場合)
初診料(2280円)+処方箋料(680円)+再診料(730円)+処方箋料(680円)+調剤基本料1(420円×2)+地域支援体制加算(380円×2)+後発医薬品体制加算2(220円×2)+薬学管理料(570円、2回目以降は手帳持参で430円)+調剤料(550円×2)+薬剤料(18.9円×24錠)
=8940円(四捨五入で計算)
3割負担であれば2980円くらいです。実際には処置が検査が加わる場合もありますので、あくまでも参考値として考えてください。
(ドラッグストアや通販の場合)
・ガスター10 12錠 希望小売価格1580円(税込1738円)
1580円×2×1.1(消費税)= 3476円
ドラッグストアや通販では希望小売価格の1~3割引くらいで売られていることが多いので、実際には3000円くらいだと思います。
胃腸薬に関しては、医療機関を受診してもOTCを利用しても費用的に大差ありません。症状が重い場合や胃腸に不安がある場合は医療機関を、症状が軽い場合はとりあえずOTCというように使い分けてもよいかもしれません。
<この記事を書いた人>
gorisan
地方の小規模チェーン調剤薬局の薬剤師。薬剤師歴12年。3児の父。認定実務実習指導薬剤師。FP技能士3級。