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高血圧症になった場合の金額シミュレーション~薬局とお金の話⑬

高血圧は、代表的な生活習慣病の1つであり「サイレントキラー」と呼ばれる疾患です。高血圧だけでは症状がほとんどありませんが、放置すると脳内出血や腎機能低下などをはじめ様々な疾患のリスクとなってしまいます。

そのため、血圧の治療において重要となるのが血圧が高くなりすぎないようキープすることとなります。この理由から血圧の薬を飲み始めたら一生飲まなければいけないと思われている方が多いですが、本来は生活習慣を改善することで血圧を低下させるのがベストです。

生活習慣の改善により血圧が下がれば医療費はまったくかかりませんが、逆に進行すれば進行するほど健康面でのデメリットは増え、金銭コストも増大していきます。今回は高血圧の治療にどのくらいの金額がかかるのかについて、薬剤師でありファイナンシャルプランナーでもあるgorisanがシミュレーションさせていただきます。

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<高血圧の薬物治療にかかる金額例>


今回は月に1回病院を受診し、高血圧治療によく使用されている代表的な薬剤を2種類服用していると仮定します。服用している薬剤は、血管を拡張することで血圧を下げるノルバスク(Caブロッカー)と、アンギオテンシンという血管を収縮させるペプチドの働きを阻害することで血圧を下げるブロプレス(ARB)という薬剤を服用していると仮定します。

・ノルバスク錠5mg 1錠35.5円(ジェネリックは12.8円)

・ブロプレス錠4mg 1錠51.6円(ジェネリックは10.1円)

ノルバスクは1日1回朝食前1錠と仮定すると、35.5円×30日=1065円。ブロプレスは1日1回夕食後1錠と仮定すると、51.6×30日=1548円。合計2613円、3割負担であれば約870円/月必要です。

ジェネリック医薬品を使用したとすると、12.8円×30日=384円。ブロプレスは1日1回夕食後1錠と仮定すると、10.1×30日=303円。合計687円、3割負担であれば約230円/月となります。

これに加えて病院でかかる費用=再診料(730円)+処方箋料(680円)、さらに薬局でかかる費用=調剤基本料1(420円)+地域支援体制加算(380円)+後発医薬品体制加算2(220円)+薬学管理料(430円)+調剤料(1540円)=4400円かかります。3割負担であれば約1500円です。

固定でかかる費用は2000円/月、実際には各種検査が加わる場合もありますので、あくまでも参考値ですが3000~4000円/月くらいはかかると考えてください。また医療機関への交通費そして通院にかかる時間を考えると金銭面以上のコストがかかります。

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<高血圧が進行したら…>


もし高血圧が進行すれば、医薬品の服用量が増えて必要な金額はさらに増えます。さらに脳内出血や腎機能低下など合併症を起こせばそちらの治療も必要となり、医療費もですが健康上のリスクも高まります。

高血圧に限らず生活習慣病は、できるだけ早期から治療と生活習慣の改善に取り組む必要があります。海外では高血圧治療薬は初期の高血圧を抑えるために用い、あとは生活習慣の改善で経過をみるという治療が徐々に広まってきています

高血圧治療において生活習慣を改善することがベストな方法です。医薬品による治療は生活習慣の改善をサポートするために過ぎません。しかし日本では治療薬を飲んでいればそれで大丈夫という認識の人が非常に多いです。

高血圧や糖尿病そして高脂血症などの生活習慣病になったら、すぐに生活習慣を特に食生活を見直しましょう。カロリーコントロールと栄養バランスを整える以上の治療法はありません。それが何より重要なことです。

<この記事を書いた人>
gorisan
地方の小規模チェーン調剤薬局の薬剤師。薬剤師歴12年。3児の父。認定実務実習指導薬剤師。FP技能士3級。