秋冬乾燥シーズン到来。乾燥肌対策におすすめは?~薬剤師が本音でオススメする市販薬⑳
秋を侵食して残暑が続いていたと思ったら、一気に寒さが押し寄せ、本格的に乾燥のシーズンがやってきました。
薬の専門家である薬剤師におススメの市販薬をセレクトしてもらうこのコーナー。
今回は「乾燥肌」にオススメのお薬をテーマにお届けします。
今回もまたアドバイスしてくれる頼もしい薬剤師さんはこちらの方々です。
(小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/ふらんすぴあの/ゆきつばめ ※五十音順)
ヒルマイルドスプレー(健栄製薬)
有効成分ヘパリン類似物質は医療用と同濃度。さらに市販薬として国内で初めて保湿成分リピジュアを添加した、霧状噴霧スプレータイプの商品。リピジュアはヒアルロン酸の2倍の保湿効果があると報告されている。
逆さのまま使用でき、手の届きにくい背中をはじめとして、全身に使いやすい。
(ふらんすぴあの)
ヘパソフトプラス(ロート製薬)
乾燥肌修復成分としてヘパリン類似物質とパンテノールの2種類、かゆみ止め成分としてクロタミトン、ジフェンヒドラミンの2種類を配合。かき跡を修復しながらつらい乾燥状態を改善し、「かきむしり乾燥肌の治療薬」として効果を発揮します。
チューブタイプ50g 1210円、ボトルタイプ85g 1760円。
(小豆田くら子)
かゆみを伴う乾燥性皮膚に。乾燥肌修復成分ヘパリン類似物質の他、肌修復を助けるパンテノール、かゆみ止め成分ジフェンヒドラミン、クロタミトンを配合。クリーム状で伸びが良く、全身にも塗りやすい。近年ヘパリン類似物質のOTC薬は多く販売されていますが、単味の製剤は皆様にも馴染みがあると思い、今回は痒み止め配合クリームを挙げました。
(ゆきつばめ)
ビーソフテン泡スプレー(テイコク・ファルマケア)
製剤が泡状で出てくるため、塗りやすく伸ばしやすい。肌触りが良いところ。今回は泡状スプレーをお勧めしますが、この製品のクリーム、スプレー、ローションと他の形状もあり、成分が同じです。使いやすいものを選ぶことができます。ヘパリン類似物質を含んでいるため、皮膚に浸透し、末梢血管に作用することで、血流を改善します。また、抗炎症作用と保湿作用で、荒れた皮膚を治します。100g/2,600円(税込)
(宇野さらら)
HPクリーム・ローション(グラクソ・スミスクライン・コンシューマー・ヘルスケア・ジャパン)
医療用でもよく使用されるヘパリン類似物質が主成分。
クリームとローションタイプがあるので、化粧水のようにローションを使用することもできる。クリームのほうが保湿力は高い。
においもなく使用しやすい。
ヘパリン類似物資だけなので、赤ちゃんからお年寄りまで幅広く使用できる。毎日続けて塗っても安心。
個人的にはローションで水分を与えたあと、クリームを塗るととてもしっとりする。
(日陰ましう)
乾燥肌にお悩みのかたへのアドバイス
乾燥肌とは、皮膚の一番外側の角質層の水分や皮脂が不足して肌の潤いがなくなっている状態のことをいいます。角質層は外的刺激から肌を守り、肌内部の水分・脂質が逃げるのを防ぎ、潤いのある肌を保つ働きをしています。
42℃以上のお湯への入浴、ナイロンタオルなどによるこすりすぎは乾燥肌をひきおこす原因となりますので、ぬるいお湯への入浴、洗うときはやさしく洗うことなども乾燥肌の予防になります。手荒れのみがひどい場合には、食器用洗剤を洗浄力の強いものから弱いものに変えることや、食器洗い用の手袋を使用することで改善が見込めます。
特に外気が乾燥しているうえに暖房をつける寒い季節は、肌の乾燥が進んでしまいかゆみを感じやすい環境になります。乾燥の症状が軽度のうちから保湿剤をまめに使用することで、皮膚状態の悪化を防げます。
(小豆田くら子)
秋から冬にかけて徐々に乾燥していくので、早めのスキンケアが重要です。特に入浴後、すぐに全身の保湿を行うことで肌のバリア機能を高め、乾燥やかゆみを防ぐことができます。今回お勧めしているヘパリン類似物質を含む製剤は、搔き壊すなどして、出血している場合には血が止まりにくくなることもあるのでお勧めしません。そのようなことにならないように、日々のスキンケアをしっかり行いましょう。
(宇野さらら)
保湿剤は1日1回塗布するよりも2回塗布する方が高い保湿効果が期待されます。一度に大量に保湿剤を使用しても保湿効果は上がらないため、適量を守りましょう。
(ふらんすぴあの)
今回は痒み止め配合クリームを挙げました。なお、尿素配合クリームは固くなった角質層をやわらかくする効果は高いものの、含有率が高い尿素は皮膚に刺激を与える事もあるので注意しましょう。塗るタイミングは入浴後が効果的です。
(ゆきつばめ)
お風呂上りにすぐに保湿剤を塗布したほうが効果がある。
(日陰ましう)
監修者コメント
全員、ヘパリン類似物質が配合されたOTCを選びましたね。
ローション、クリーム、泡スプレー、液体スプレーと、さまざまな剤形がそろっていますので、自分が使いやすいものを選ぶといいと思います。
<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。