見出し画像

発熱症状のある風邪にご注意!~薬剤師が本音でオススメする市販薬⑦

冷え込みが厳しくなり、昼夜の寒暖差により体調を崩しやすい季節になっています。
感染症も気になるところですし、体調の管理を心掛けたいですね!
薬の専門家である薬剤師におススメの市販薬をセレクトしてもらうこのコーナー、第7回目のテーマは「発熱症状のある風邪」です。
それでは、どうぞ。

◎今回推薦してくれた5名の薬剤師(小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/ふらんすぴあの/ゆきつばめ ※仮名・五十音順)

改源錠(カイゲンファーマ)

このコーナー、決して多数決を重視するわけではないのですが、非常に多数のアイテムのあるかぜ薬カテゴリーにおいて60%の薬剤師が推薦したのがこちら。

解熱作用・鎮痛作用のあるアセトアミノフェン、気管支拡張作用による鎮咳作用を主としたメチルエフェドリンを配合。また、風邪の諸症状に効果のある漢方薬、補剤といわれる成分(カンゾウ・ケイヒ・ショウキョウ)を含有。カンゾウは咳・痰やのどの痛みに、ケイヒは頭痛や発熱に、ショウキョウは咳などに効果があります。

■おすすめポイント
眠くなりやすい抗ヒスタミン成分や高齢者で使いづらい抗コリン成分を含まない、感冒薬としては特徴的な処方。
5歳以上から服用が可能。同シリーズにはカプセル製剤もあるが、服用しやすさから小粒の錠剤をおすすめしたい。(ふらんすぴあの)

抗ヒスタミン剤を含有していないので、眠くなりたくない方の他にも前立腺肥大・閉塞隅角緑内障の方でも安心して服用できます。(小豆田くら子)

次にご紹介するのはパイロンの新製品。医療用と同量で市販薬が発売されたことが、薬剤師にとっては注目ポイントだったようです。

パイロンPL顆粒Pro(シオノギヘルスケア)

今年(2021年)8月に新発売。
解熱鎮痛成分アセトアミノフェン、サリチルアミドを配合。鎮咳成分を含まない処方は総合感冒薬としては特徴的。
パイロンシリーズ既存製品の「パイロンPL顆粒」は、成分量としては医療用のおよそ2/3であったが、本製品「Pro」は同量配合。病院へ行くともれなく処方される総合感冒剤です。解熱効果は高いです。眠くなります。

※使用上の注意点が多く、前立腺肥大や緑内障の方など服薬できない場合があるので注意が必要です。薬剤師・登録販売者へ相談を。

■おすすめポイント
医療用で使用されるものと同成分です。医師が処方するのと同じものが欲しいという方。寒気がして、熱も出てきた、くしゃみも出る、ゆっくり休もうという方むき。(宇野さらら)

受診控えなどを理由に医療用と同成分の商品をお求めの方に。(ふらんすぴあの)

ルルシリーズには漢方処方もありました。

ルル内服液<麻黄湯>(第一三共ヘルスケア)

麻黄湯は、風邪症状に効果がある漢方薬の1つで、インフルエンザのときにも処方されることのある薬です。寒さによって体内のエネルギーや栄養の流れが悪くなると、汗が出ず、寒気や節々の痛みなどが生じるため、体を温めて、発汗を促すことで熱を発散させる作用があります。
また、ルル内服液は、処方薬の漢方と同じ量の麻黄湯を含むため、十分な効果が期待できる上に、剤型は液剤のため即効性が期待できます。3本入りで1320円。

■おすすめポイント
風邪を悪化させずに早く治したい方に。
抗ヒスタミン剤を主とする眠くなる成分を含まないので、日中仕事や用事がある方にもおすすめです。(小豆田くら子)

麻黄湯はクラシエからも発売されています。
あれ、有効成分量としてはこちらのほうが多いということですね…

「クラシエ」漢方麻黄湯エキス顆粒i(クラシエ)

麻黄湯は体力が充実した方への風邪の初期症状に、古くから使われています。風邪の引き始め、寒気がして発熱、身体のふしぶしが痛い方に。眠くなる成分無配合。今回紹介の商品は2歳から服用可だが、メーカー、剤形により服用可能年齢が異なるため注意。1日3回服用タイプ。1.5g×10包入、税込1,518円。

■おすすめポイント
麻黄湯エキス(3/4量)※商品により濃度が異なるため、この部分(3/4)は重要。
(ゆきつばめ)

タイレノール(アリナミン製薬)

医療用のカロナールと同じアセトアミノフェンが300㎎配合されている。

■おすすめポイント
総合感冒薬で効果のある症状、熱、頭痛、のどの痛み、咳、痰、鼻水などの症状はすべての人に出るだけではない。
特に熱だけがある人にはこれを必ず勧めている。熱にはよく効くため本当におすすめ。
(日陰ましう)

リングルアイビーα200(佐藤製薬)

1回量として、イブプロフェンOTC医薬品最大量の200mgを配合。症状により最大1日3回まで服用可。

■おすすめポイント
風邪と言っても鼻水、咳症状が無く、熱のみであれば解熱鎮痛剤を勧めたい。眠くなる成分無配合。有効成分のイブプロフェンが液状に溶けており、辛い熱や痛みに速く効きます。(ゆきつばめ)

コルゲンコーワIB錠TXα(興和)

■おすすめポイント
鼻水、せき、痰、熱、のどの痛みなどいろんな症状が出ており、特に熱がある人におすすめ。
(日陰ましう)



いかがでしたか。
体の調子が悪いとき、病気かな?と思ったとき、病院に行かなくてもすぐに買って使える便利な市販薬。しかし店頭に並ぶ商品を自己判断で選ぶのは難しいことです。
自分の体質や直面している症状に適した薬を選ぶには、専門家である薬剤師や登録販売者と相談して購入するのがベストです。
特に発熱症状がある場合は十分注意して、気になるときは医療の専門家に相談しましょう。

監修者コメント


改源が人気ですね。
総合感冒薬には熱、鼻水、咳、のどの痛みなどを緩和する薬剤が配合されているので、自分の一番つらい症状を抑えるにはピンポイントで効き目が出る薬がいいですね。
今回は発熱がメインの症状でしたので、解熱鎮痛剤のOTCを選択された薬剤師さんが多かったですね。
抗ヒスタミン薬による眠気は仕事にもさしつかえますし、服用できない方もいますしね。

<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)
著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。