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暮らしの薬学【防虫剤】~②防虫剤の種類と特徴

昔からある防虫剤は、特有のにおいがしますね。その匂いが衣替えやたんすのにおいを連想したものですが、今は殺虫剤成分と同じピレスロイド系が主流となり無臭の防虫剤がほとんどです。でも逆に植物香料などで香り付けしているものもあります。

主な防虫剤の主成分は殺虫剤成分と同じ!


 以前は、植物由来の“樟脳(しょうのう)”という成分が使われましたが、化学合成の発達とともにナフタレンが登場し、さらにパラジクロロベンゼン製剤が使われるようになりました。
1980年ごろから、殺虫剤と同じ成分の“ピレスロイド系”(暮らしの薬学【殺虫剤編】~③殺虫剤はどうやって害虫を殺すの?】)の防虫剤が販売されるようになると、それまで独特のにおいを放つ防虫剤よりも無臭タイプが好まれ、今は家庭で使用されている防虫剤の約8割がこのピレスロイド系の防虫剤です。
衣類用防虫剤であるナフタレン、パラジクロロベンゼンは昇華性の性質を持ち、その特有の強い臭いを空間に行き渡ることで、害虫の卵のふ化を抑制したり、幼虫の食欲を減退させたり、成虫を近寄らせない(忌避効果)ようにすることで衣類を虫くいから守ります。
 また、ピレスロイド系成分は、「エンペントリン」「プロフルトリン」があり、殺虫作用に加え、常温で揮散するため衣類用としてよく用いられます。
 これら以外に、抗菌、防虫、消臭などのさまざまな働きもつ木の特有の香り(これを「フィトンチッド」と言います)を用いた防虫剤があります。クスノキの香りである樟脳もその一つですが、他には、ヒノキ、コウヤマキ、サワラ、ヒバには木材を食害するシロアリを殺したり、追い払ったりする成分が含まれています。「レッドシダー」は天然素材の防虫・消臭剤として有名です。

Q.防虫剤のそれぞれの特徴を教えてください

A.この表を参考にしてください。

もっと勉強したい人に~参考リンク・参考図書


防虫剤の上手な使い方(DCMホールディングス)

<参考図書>
すっきりわかる!くらしの中の化学物質大事典

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<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。