年末年始の飲み過ぎ食べ過ぎにはこの胃腸薬~薬剤師が本音でオススメする市販薬⑧
飲む前に、飲む。
…なんて、師走ともなると胃腸薬のCMが流れる季節でしたが、今は昔。
暮れも押しせまり今年もあと残すところ数日。
忘年会とか、皆さんやりましたか?
去年に続き、あまり大々的な宴会が催されることも減っているのではと思います。
とはいえ、クリスマスもお正月もあるし、この季節おうちであっても、どうしても飲み食いしちゃいますよね。
やはり胃腸薬の出番でもあります。
薬の専門家である薬剤師におススメの市販薬をセレクトしてもらうこのコーナー、第8回目のテーマは「年末年始の飲み過ぎ食べ過ぎにはこの胃腸薬」です。
それでは、どうぞ!
◎今回推薦してくれた5名の薬剤師(小豆田くら子/宇野さらら/日陰ましう/ふらんすぴあの/ゆきつばめ ※五十音順)
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液キャベコーワG(興和)
お酒による胃の不快症状等を改善するウコンとヒハツを含む6種類の健胃生薬と、整腸成分ゲンノショウコエキス、制酸成分合成ヒドロタルサイト、粘膜修復成分カンゾウエキスを配合。1本50mL550円(税込)。
■おすすめポイント
医薬品として販売されている液キャベシリーズは3種類あるが、二日酔いなどによる胃の不快症状に、今すぐ飲みたいと言われたらコレ。さらっと飲みやすい液体タイプ。(ゆきつばめ)
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ガスター10シリーズ(第一三共ヘルスケア)
飲み過ぎや食べ過ぎの状態が続くと、胃酸が過剰に分泌されます。胃酸は消化・殺菌作用を持ちますが、必要以上の胃酸が分泌されると胃粘膜が荒れて、胃痛・胃もたれ・胸やけ・嘔気などの症状を引き起こします。ガスター10の成分であるファモチジンは優れた制酸作用があり、即効性もあります。
剤型は錠剤、散剤の他にも水なしで服用可能な速溶錠も販売されています。一番少ない包装は6錠(6包)入りで1078円です。
■おすすめポイント
胃酸過多による胃痛、胸やけ、むかつきの症状がひどく、すぐに改善したい方に。
(小豆田くら子)
ファモチジン単剤なので併用薬を考えるのが簡単でおすすめしやすい。(日陰ましう)
※高齢者、小児の方、妊娠されている方、腎機能に異常のある方は使用できません。また、第一類医薬品であるため薬剤師との対面販売が必要です。既往歴や服用薬剤がある方は必ずその旨を薬剤師に相談しましょう。
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スクラート胃腸薬(ライオン)
ロートエキスが入っているので鎮痙効果があるので痛みを抑えます。胃粘膜を覆って保護するスクラルファート水和物、胃の血流を増加させ、胃粘膜の形成を助けるアズレンスルホン酸、L-グルタミン酸が配合されていること。ケイ酸アルミン酸マグネシウム、合成ヒドロタルサイトが胃酸のPHを調節しむかつきを抑える。
■おすすめポイント
食後にむかつきや、痛みを感じる方。この薬は食間(食後2,3時間経ち胃が空の時)に服薬すると効果的。(宇野さらら)
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さらに、「S」にも推薦の声が。
スクラート胃腸薬S(ライオン)
■おすすめポイント
「スクラートS」は胃粘膜保護成分スクラルファートをベースに、消化酵素や生薬成分を配合した商品。7種の健胃生薬を配合し、飲みすぎ食べすぎで弱った胃への対応力はスクラートシリーズでも随一。会社や取引先との飲み会など、お付き合いが多く避けられない方に。(ふらんすぴあの)
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シオノギ胃腸薬K細粒(シオノギヘルスケア)
6種類の健胃作用のある生薬と、3種類の消化酵素が配合されている。
胃酸を中和する成分、胃の痛みに効く成分も配合されている。
■おすすめポイント
胃痛がひどいというわけではないが、食べすぎてしまった、飲みすぎてしまったという人におすすめ。散剤なので錠剤が飲み込みにくいという人におすすめ。
32包入りなので飲み会の頻度が多い方におすすめ。(日陰ましう)
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太田胃散A〈錠剤〉(太田胃散)
炭酸水素ナトリウムが入っているので胃酸を中和する働きがあります。
消化を助ける酵素が4種類入っているので、食べ過ぎの状態を助けてくれます。
錠剤なのでのみやすい。
■おすすめポイント
子ども5歳から飲めること。
脂肪分の多い食事、肉類の食べ過ぎた時に消化不良を起こす場合。またそのような状態が起こると前もってわかっている方。(宇野さらら)
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大正漢方胃腸薬<内服液>(大正製薬)
「五苓散(ごれいさん)」と「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」の2つの漢方が配合されています。五苓散は、飲みすぎにより胃腸にたまった水やアルコールの排泄を促し、黄連解毒湯は、アルコール、食べ過ぎなどであれた胃粘膜を修復します。
■おすすめポイント
胸やけ・胃痛の程度が軽度の方。とりあえず少ない量で症状を軽減したい方に。(小豆田くら子)
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ベリチーム酵素(シオノギヘルスケア)
4種の天然由来酵素、でんぷん・たんぱく質分解酵素のビオヂアスターゼ、繊維質分解酵素のセルラーゼ、脂肪分解酵素のリパーゼAP6、でんぷん・たんぱく質・脂肪分解酵素のパンクレアチンを配合。消化管内のpHに合わせて溶けるコーティング技術で胃と腸のそれぞれに届き、効果を発揮。
■おすすめポイント
消化に特化した胃腸薬、天然由来消化酵素の力で食べ過ぎ、胃もたれを改善。妊婦や授乳婦、子供は5歳から服用可。(ゆきつばめ)
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タナベ胃腸薬<調律>(田辺三菱製薬)
https://hc.mt-pharma.co.jp/site_t-choritsu/
自社で開発し、医療用医薬品としても頻用されるトリメブチンマレイン酸塩が配合されていることが何よりの特徴。制酸成分や消化酵素とともに、運動機能が低下した胃腸を改善に導く。
■おすすめポイント
食べすぎ飲みすぎはもちろん、ストレスが原因でも胃腸が不調になりやすい方に。
ただし、店頭で見かけることはまれ。(ふらんすぴあの)
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…店頭で見かけることは稀??
そういえば昔、タナベ胃腸薬〈調律〉を薬剤師に奨められたことがあった。
突然、胃が痛んでどうしようもなくなった夜のこと。駆け込んだドラッグストアで薬剤師さんに訴えたんだ。あれはこだわりのおすすめ商品だったんだな…(編集者談)。
体の調子が悪いとき、病気かな?と思ったとき、病院に行かなくてもすぐに買って使える便利な市販薬。しかし店頭に並ぶ商品を自己判断で選ぶのは難しいことです。
自分の体質や直面している症状に適した薬を選ぶには、専門家である薬剤師や登録販売者と相談して購入するのがベストです。
胃腸薬の選択も、薬局で専門家に相談して購入して下さいね。
監修者コメント
「飲む前に飲む!」胃腸薬のCM懐かしいですね。
新型コロナウィルス感染拡大で、暮れの街の風景も様変わりしました。
健胃消化薬や制酸薬のほかに、ファモチジン、スクラルファート、トリメブチンマレイン酸塩、テプレノン、ベリチームなどの医療用医薬品もOTCになりました。
胃腸薬の選択も広がりましたね。
来年こそ、みんなでワイワイ飲めるようになることを祈ります。
<本稿の監修>
坂口眞弓
博士(薬学)。みどり薬局、みすじ薬局、ゆうま薬局代表(東京都台東区)
著書に「ここが知りたかったOTC医薬品の選び方と勧め方(南江堂)」、「OTC医薬品の比較と使い分け(羊土社)」など多数。