“医薬分業”って何ですか
「病院での診察が終わり、処方箋を出されて、こんどは薬局に行って薬を出してもらわないといけない。今日は病院も混んでいて、診察予約したのに結局長く待たされたな。ようやく終わったと思ったら、また薬局でも待たされるのか… どうして病院でそのまま薬を出してもらえないんだろう?」
そんなことを考えたことはありませんか?
数十年前は、病院やクリニックで診察後にそのまま薬を出してもらうケースが多かったので、その頃を覚えている方は特にそんなことを思い出すかもしれません。
しかし本来、医師は診察をすることに徹して、薬の管理は薬剤師が薬局で責任を持って行うことが医療の正しい在り方です。
これを「医薬分業」といいます。
医薬分業は90年代後半から急速に進展し、90年代初頭には10数%だった「処方箋受取り率」が、今現在2020年の調査では75%という数字で示され、つまり医療機関で発行された処方箋を医療機関では無い薬局で薬を調剤する方式が定着していることが分かります。
医薬分業は効率、安全、経済の側面でメリットが大きいことから国が進めてきた政策でした。
医薬分業が進んでいなかった時代、一人の患者が複数の疾患を抱えて、複数のクリニックや病院で治療をしていたとします。
すると、各医療機関から出された薬を全て服用していた場合、重複した薬による相互作用や副作用が発生しても見落とされることが多かったと思います。
薬剤師は薬の専門家です。
医薬分業により、患者が一カ所の薬局で薬をもらうことで、くすりの飲み合わせの問題がないか、副作用がなく継続的に薬が飲めているかどうかを確認してもらうことができます。
それが薬局の薬剤師の役割です。
また、医療機関で薬を出していた場合、在庫管理の問題で、医師の処方が特定の薬に偏ってしまう傾向もありました。
医療用の医薬品は約2万種類もあります。
医師が患者の疾患ごとに適切な薬を選択して処方をしたいと思っても、もし薬の仕入まで行うことになると、とても本来の診療ができなくなってしまいます。
医薬分業により、薬局が数多くの種類の薬を揃えるからこそ、医師は在庫を気にすることなく、適切な処方をすることができるのです。
また、薬局ではジェネリック医薬品への変更など、患者さんの経済的な負担を軽減する取り組みを行っており、情報面でも適切な商品情報を常にチェックしています。
医師は診療を、薬剤師が薬の専門家として分業することで、最適、安全、経済的な医療が成り立っています。
また、薬局では医師とは別の観点で薬剤師として薬の情報を管理しています。
もし、医師から処方された薬が合わない、何か疑問点がある場合は、薬局の薬剤師に相談してみてください。
薬剤師ならではの判断やアドバイスをしてもらえるはずです。