暮らしの薬学【ヘアカラーリング剤】~①髪の構造と白髪になるメカニズム
ミズホ「最近、頭頂部に白い髪を見つけてびっくり。でもよくよく見たら生え際にも・・・。一番下の娘の幼稚園で発表会があるのに・・・。どうしよう~」
薬剤師ナナコ「幼稚園での発表会には若いパパ・ママが集まるのよね~。白髪を染めたくなるわよね。美容院で染める?ドラッグストアにもいろいろなヘアカラーリング剤があるわよ。今のミズホさんにあった商品を一緒に選んであげるね~。使い方は簡単だけどいろいろと注意が必要だからそれも一緒に勉強しましょう。」
白髪ってどうしてできるの?
髪は、一番外側をキューティクル、中間部をコルテックス、中心部をメデュラという3つの部分からなります。
髪の大部分はタンパク質でできていて、残りは脂質、メラニン色素などです。毛髪のタンパク質は、シスチンというアミノ酸が多いのが特徴です。
黒髪と白髪の違いはコルテックスとメデュラに含まれているメラニン色素の存在です。
メラニン色素はメラノサイトという色素細胞から生まれますが、その細胞を生み出すのが色素幹細胞です。毛髪は、毛母細胞が分裂・増殖して伸びていきますが、その時に色素幹細胞から生まれた色素細胞が毛包の根元のほうに運ばれて、毛母細胞が成長し、毛が伸びていくのと一緒メラニンを生成して髪を黒く色づけるのです。
白髪になるのは色素幹細胞の働きが維持できなくなり毛母細胞が成長しているときに、色素幹細胞が色素細胞を送らなくなることで“色のついていない毛”が伸び、つまり白髪になるというわけです。
メラニン色素の色調には、黒褐色系の真メラニン(ユウメラニン) と黄赤色の亜メラニン (フェオメラニン) の2種類あり、その数や大きさによって髪の色が決定されます。黒褐色毛の場合にはフェオメラニンは微量にしか含まれず、ユウメラニンの数が多くなっています。両方の色素が多いと栗毛に、両方とも色素が少ないと金髪になります。
Q.黒くヘアカラーしたあとに茶髪にできないのはなぜ?
ヘアカラーは、髪にあるメラニンを脱色して色を着色させることですから、黒くヘアカラーするということは黒色を着色していると思われます。その後に茶髪にするためにヘアブリーチやヘライトナーと呼ばれる脱色剤を使っても、毛髪のメラニンを脱色するだけなので、黒く染めた色を脱色できず、茶髪にすることはできません。また、脱染剤(デガライザーとも呼ばれています)と言うものがありますが、染めたときに毛髪に残った染料を落とす働きはありますが、黒く(濃く)染められた色やヘアマニキュアの色を薄くすることはできますが、取り除くことは困難です。
もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書
●毛髪の基礎知識(日本ヘアカラー工業会)
https://www.jhcia.org/information/2_basicknowledge.html
<参考図書>
『いい白髪、やばい白髪ケアー頭皮がしみる、かゆいは危険信号!』
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<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。