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暮らしの薬学【予防しよう!熱中症編】~①熱中症とは?

ミズホ「夏は熱中症に注意!ってよく見かけるから、夏になったら経口補水液とか買って、熱中症対策やればいい~なんて思っていたら、夏が来る前に子供が部活で熱中症になったらしいの。暑くなる前も危険なのね~」
薬剤師ナナコ「熱中症って夏のもの!って思っている人が多いけど、熱中症が多く発生するのは梅雨が明けたころの蒸し暑い日や、2月から5月にかけても起きています。さらに小学校の低学年は高学年より体力が劣るため、熱中症にもなりやすいとも言われているのよ。重度の熱中症になると命の危険もあるから今から準備しておきましょう」


熱中症と脱水症ってどう違うの?なぜそうなるの?

高温環境やスポーツ活動による温熱ストレスが体にかかると、皮膚血管を広げたり、発汗したりして体温を一定範囲内に保とうと働きますが、過度な温熱ストレスがかかると体温調整機能自体が破綻してしまい、脱水、塩分欠乏、そして体内に熱がこもった状態になります。原因や症状により熱失神、熱疲労、熱けいれん、熱射病に分けられ、これらの障害の総称が「熱中症」です。特に注意が必要なのは、熱射病で、熱中症の中でも最も重症で、一刻も早く救急車を要請して医療機関へ送らねばなりません。救急車が来るまでの応急処置については、(暮らしの薬学【予防しよう!熱中症】~④応急処置)参照。

ちなみに「脱水症」は「熱中症」に見られる障害の一つで、体液、つまり水や電解質(体内の塩分やカリウムなどのミネラル)が汗や尿、便で失われている状態です。単に「水が失われた状態」ではありません。脱水症については、(暮らしの薬学【予防しよう!熱中症】~②体液と脱水症)で詳しく解説します。

Q.熱中症に梅干しが有効?


暑くなり、体温が上がると、体内に熱がこもってしまうため、汗をかいて体温を正常値にコントロールしようとします。その汗には、水分だけでなく電解質(体内の塩分やカリウムなどのミネラル)も含まれており、汗をかくことで失われる電解質、つまり塩分を一緒にとることが推奨されています(経口補水液など)。
梅干しには適当な塩分があり、また疲労物質である乳酸を体内で分解し新陳代謝を促す働きを持つクエン酸も豊富に含まれているため、このような熱中症の予防に有効であると言われています。 

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク・参考図書


●熱中症の病型と症状(大塚製薬)
https://www.otsuka.co.jp/health-and-illness/heat-disorders/type/

<参考図書>
『子どもの保健Ⅰ(基本保育シリーズ10)』
『知って防ごう熱中症 ―正しい予防と迅速な処置のために―』
『スポーツ栄養学 ―栄養サポートの理論と実践力をバランスよく身につけるためにー』
『梅干し力―ニッポンの伝統食パワーはすごい!』

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<書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。