見出し画像

暮らしの薬学【衣類用洗剤・除菌/漂白編】~④シミ抜き

食べこぼしなどでシミを付けて、がっかりしたことあるのよね~。あの時は、うまくシミ抜きができずにあきらめて洋服を処分しちゃったわ。シミ抜きってどうしたらうまくできるのかな~。

やっちゃいました・・

シミ抜きとは

そもそも、シミ抜きってどういうことをいうのでしょうか。

衣類についたシミ(汚れ)を、洗剤や薬剤に溶けこませ、繊維から離し、別のもの(下敷きの布やガーゼ、タオル)へ移すこと、または、化学反応により、無色化することなのです。これまで洗剤や漂白剤について解説してきましたが、シミ抜きには他に使用する薬剤があります。これらを使ってのシミ抜きについて説明しましょう。 

まず、抜き出すシミの種類が、油性か水性かを明らかにします。どちらのシミかどうかわからない場合は、シミ部分に水をスプレーしてシミが水に溶けて広がるかどうかで判断します。シミが油性のものならば、ベンジンやアルコール、マニキュア除光液など揮発油のような薬剤で溶かし、下敷きにしている布へ汚れをたたいて移します。水溶性ならば、水か、中性洗剤で同じように行います。水や中性洗剤で取れないものや、色素や染料など着色されたシミは、酸化型漂白剤を、イゾジンや鉄さびは還元型漂白剤の漂白剤を使います(参照【衣類用洗剤・漂白編】~①漂白剤の働きQ&A)。果汁等の酸類は、アルカリ性薬剤で中和して除去します。血液、墨汁、化粧品など、以下、次の表を参考にして早めに処置しましょう(表1)

表1 シミの種類と洗剤、漂白剤、薬剤の使い方

また、衣類の繊維には、天然繊維(綿、麻、絹、羊毛など)と化学繊維(レーヨン、ポリエステル、アクリル、アセテート、ナイロンなど)があり、繊維の種類によって使用できない薬剤があります(表2)
繊維の素材がわかりにくいときは、縫いしろや目立たない部分でまず薬剤を付けて確かめてみましょう。

表2 避けなければならない薬剤と繊維の組み合わせ

 このようにシミの種類と使う洗剤、漂白剤、薬剤等の関係について基本事項を覚えておくと、いざというときに素早くシミ抜きができますね。

Q.夏に着たのジャケットの汗じみはクリーニングにだしてもとれにくい?

A.クリーニング店では、有機溶剤で洗濯するので、汗のように水溶性の汚れは落ちにくいです。汗ジミを作らないようにするには、脱いだあと、汗をかきやすい部分を水や洗濯用洗剤液でたたいておきましょう。
夏ならではですが、汗を抑え、わきのにおいを抑える、銀イオン配合の制汗スプレーを使用することがあります。この商品は衣類につくと黒っぽく変色し、その上、漂白剤でもおちにくいので、使用の際は注意しましょう。

もっと勉強したい人に ~ 参考リンク

家庭でできるしみ抜き方法
服の油染み│応急処置〜時間が経ったシミの落とし方まで徹底解説
(くらしのマーケット)

<参考図書>
とりたいシミがスッキリ落ちる!驚きのシミ抜き事典130
気に入りを長く着る衣類のお手入れ ―洗濯・しみ抜き・つくろい・しまい方―
クリーニング屋さんが教えるおうちで簡単◇魔法の洗濯ワザ

*****

<この記事を書いた人・監修>
藤田知子
京都薬科⼤学卒業後、メーカー勤務を経て、ドラッグストアでOTC医薬品販売から処⽅箋調剤など薬剤師業務 に従事。“薬剤師は町の科学者”をテーマに薬系新聞に寄稿、「ドラッグストアQ&A」(薬事⽇報社)を編集。