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ベンチャー最終面接でボコボコにされた話
「あーー、疲れた。」
15階フロアのエレベータの前で、
そう呟いた。
最終面接を終えた。
惨敗だった。
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久しぶりにスーツをビシっと決めての外出。
「かっこええやん」
と、鏡を見ながら呟く。
16時00分からの面接、
少し早めに14時30分に家を出た。
いつも迷うのが怖くて、
会社の最寄駅に30分前には到着するように向かう。
「(面接のときに電車が遅延していたらどうしよう)」
と、毎回心配で考えてしまう僕。
無事、予定通りの電車に乗れた。
電車の中で、会社のHPを少し確認し、
「(まあなんとかなるでしょ)」
と思って、スマホを閉じた。
予定通り15時30分に会社の最寄駅に着いた。
「(まずはトイレだ)」
近くのトイレを探す。
「(昨日、ビール飲まなかったらよかったな)」
と、尿意の早さに少し後悔する。
トイレを終えると、15時37分。
「(よし行くか)」
と、最終面接の会社に向かう。
あまり緊張していない。
「(いつも面接官の人は優しいし、
就労移行支援事業で、対話を大事している。
大丈夫でしょ)」
と、思いながら歩く。
15時45分、会社があるビルに着いた。
心配性な僕はもう一度トイレへ。
トイレを済ませ、準備万端。
エレベーターに向かう。
エレベーターに乗り、15階フロアに到着。
「(どっちにあるんだろう。)」
と、内心迷いながら歩き始める。
確信を持てないまま、
会社のドアの前であるところに到着。
「(ガチャッ)」
急に男性が出てきた。
「こんにちは」
と、挨拶をしてきた。
不意を突かれた僕だったが、なんとか返す。
開いたドアが閉まると、
最終面接の会社名が書かれていた。
「(うわ、ここかよ。さっきの挨拶無愛想だったかな)」
と、少し心配になる。
3回ノックをして、入室する。
芸人パンサーの菅を垂れ目にしたような
長髪で優しそうな男性が対応してくれた。
「本日面接に参りました、上田です」
と、僕が伝える。
「はじめまして、東野と申します。
担当が来ますのでこちらでお待ちください。」
と、そばにあった椅子に案内された。
部屋は高校の教室2個分程の大きさ。
隅の方にパーテーションで仕切った4畳程の部屋が一つ。
さっき挨拶をしてきた男性が部屋に戻ってきた。
芸人ナダルの西野みたいな人。
軽く互いに会釈して、4畳の部屋に入っていった。
「もう10分前に来てくれているから、#$@・・」
と、話し声が聞こえる。
「(あれ、なんか早く来すぎたかな)」
と、少し心配になる。
16時00分。
東野さんが近づいてくる。
「それではどうぞ」と、
4畳の部屋に案内してくれて、ドアを開けてくれる。
すると、
「いやいや、ドア開けるところもみたいから」
と、西野に似た男性が言った。
「(うわー、こいつめんどくせえやつやな)」
「(そんなん言われたら余計緊張するやんけ)」
と思いながら、3回ノックして入室する。
「はじめまして、上田と申します」
と、緊張しながら椅子の横で挨拶する。
「はい、それではどうぞかけてください」
と、西野に似た男性が言う。
座ってみると面接官が3人いた。
目の前に西野に似た男性、
その横に女性が一人、
そして入室時は気づかなかったが、
左にパソコンがあり、オンラインから男性が一人。
しっかりとお偉いさん達が並んだ。
それぞれの名前だけを紹介されて、
「それでは早速自己紹介お願いします」
と言われた。
アイスブレイクも笑顔も全くなく、
いきなり面接はいつぶりだろうか。
部屋は狭いせいか、雰囲気の圧迫感を強く感じる。
自己紹介をするも、
緊張で終始目線が下がってしまった。
自分も何を言っているのかわからない。
完全に雰囲気に飲まれた。
「(早く終わりたい)」
「(どうやったらこの場が失礼なく終わるだろうか)」
そんなことばかりを考えながら話す。
途中履歴書を僕に見せながら、
「志望動機が白紙なんだけどどいうこと?」
と言われた。
「(あれ、ここは志望動機書いたはずなんだけどな)」
と焦りながら、
「提出ミスかもしれません。申し訳ないです。」
と、伝えた。
僕はとにかく行動が慎重なので、
行動のハードルを下げるために、
志望動機を書かずに書類提出することがある。
そのせいだと後から思った。
何事もなかったように面接が進むが、
面接官は話すスピードが早い。
頭が追いつかない。
何を言っているのかわからない。
僕の話は終始まとまりがなく、
緊張と自信のなさを全面に出しながら、
逆質問まで終えて面接が終了した。
「では、以上で終了です。」
「(よし、早くこの場から退散しよう)」
と、面接が終わったことの嬉しさが少し込み上げた。
4畳の部屋を出て、
会社のドアの前で挨拶をして、
通路に出た。
まだ心臓がバクバクしながら
エレベータの前に着く。
「あーー、疲れた」
と、言葉が漏れた。
「(やばい、聞かれてないかな)」
と、すぐに周囲を見渡す。
エレベーターに乗り、
そのまま駅まで行って電車で帰宅した。
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・
面接後に知ったことだが、
バリバリのベンチャー企業で
有名生命保険会社や有名人材業界を経た人が
入社するような会社だった。
無名の中小企業で正社員として働いて、
その後は正社員経験のない僕が、
謎に一次面接が通り、最終面接に進んでいたらしい。
家に帰ってからは、
実績が違いすぎて他者比較から
自己嫌悪を感じていたが、
その情報を目にしてからは少し心が軽くなった。
僕の転職活動はまたゼロになった。
===
小説を書きたいと思っている僕にとって、
初めて小説っぽく書いてみました。
コメントに感想もらえるとめちゃ嬉しいです☺︎