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社内管理システム(ERP)の開発と導入 〜働き方改革推進記録 vol.8〜

 こんにちは、株式会社シグナイト COO 兼 Tオケ自称マネージャーの山田です。私自身は2001年創業時から約20年間、ずっとシグナイトという会社を切り盛りしていて、良い面、悪い面含めてさまざまな経験をさせていただきました。良い面と悪い面双方兼ね備えた事例としては、2014年から取り組んだ働き方改革があります。今回はこの場をお借りして、どのように働き方改革を進めてきたかを何回かに分けてご紹介したいと思います。

 これまで7回にわたりデジタル化やツールの導入などをご紹介してきましたが、いよいよ大詰めとなってきました。在宅勤務制度の記事でも触れました社内管理システムについて今回はご紹介したいと思います。

手間なく確実に管理をし、エンジニアにも工数の存在に気づいて欲しい

 時を遡ること8年前の2013年。私は東日本大震災の復興事業を支援するシステムの開発に日々奔走していました。会社としてもリーマンショックの影響や東日本大震災による計画停電などで大きなダメージを受けた後の一大事業でしたし、復興事業として直ぐにでも対応しなければいけないタスクが山積みでしたので、昼夜関係なく必死に働きました。何より震災から一年経った後にもかかわらず瓦礫の山が残る被災地の惨状を目の当たりにしたことで、少しでも復興の力になれることに喜びを感じていました。

 ただ、当時は事務所のある府中市(東京)と仙台を往復することが多く、離れたところからビデオ会議(当時はお客さん環境の WebEx を利用)やメールで連絡を取り、開発を進めていく必要がありました。緊急の対応が必要なことも多々あり、エンジニアに負担をかけることも多かったと思います。そんな慌ただしい状況下でも売上や利益の管理を行わねばならず、外注費などの経費と合わせてもう少しスマートに管理できないものかと考えていました。中でも一番の課題は緊急性の高いプロジェクトを多く回す中で、利益を出すために細かい工数や経費の管理が必要になるという点でした。

 そこで考えたのが、売上、工数、経費(外注費、交通費など)をプロジェクトごとに一元管理できるシステムです。収入と支出を現状のワークフローに合わせて管理することで、利益を伴う良いプロジェクトと工数ばかりがかかる悪いプロジェクトを可視化し、エンジニア自身がどのくらい工数が使えるのか直感的に理解できるようにしたかったのです。

人が動いてくれないと前に進めないしくみが確実なデータ登録へつながった

 構想から5年後の2018年、幾度となく進めようとしては計画倒れに終わるという負のスパイラルを乗り越え、社内管理システムが完成しました。社内システムでは、見積に必要な見積番号を発行するため、見積を作成するたびに必要なリード情報が営業担当によって登録されます。また、見積作成前の段階でもデモを作ったり、提案書をつくる際の工数はプロジェクトと紐付ける必要があるため、営業がプロジェクトを登録しないとエンジニアから登録の催促を受けます。

 システムの定着化には個人で完結するしくみではなく、他人が何かをしてくれないと完結できないしくみが望ましいです。そのため、在宅勤務制度の記事で紹介したように給与計算も工数が締め日までに登録されないとできないしくみにしてありますし、外注費も社内管理システムを通じて支払いの準備を行うため、常に経理から適切な次期に外注費を登録するよう促されます。

 また、入力の手間を極力省くしくみも必要でした。例えば、交通費は前回紹介した SUICA をタッチするだけで情報を取り込める Kincone という勤怠管理システムを使っているのですが、そのシステムとデータを連携して社内管理システムに登録できるようにしました。プロジェクトを登録する際の顧客情報も Sansan の名刺管理システムからデータを連携して参照、登録することができるため、二重で登録するということがありません。

正しいデータを登録できるようになったことで、会社の健康状態が一目瞭然に

 ここまでは登録の機能やしくみを紹介しましたが、管理側の目玉機能もあります。それは、登録する工数のプロジェクト名によって直接的な工数なのか間接的な工数なのかをわかるようにしたことです。直接的な工数とは「○○会社様向け業務管理システム」のように売上に直結するプロジェクトのことです。逆に間接的な工数とは「セミナーへの参加」や「営業メールの送付」など間接的に売上に結びつくプロジェクトがそれに当たります。

 社内管理システムでは、これらを部門ごとに円グラフで表現しています。そしてこのバロメーターをみるだけで会社の健康状態がわかってしまうのです。シグナイトは大きく分けて営業部門、技術部門、品質管理部門の3つに分かれているのですが、営業部門の間接工数が高く、技術部門の直接工数が高いときが順調に運営できている証となります。営業の間接工数が高いということは「営業メール送付」などの営業活動を積極的に行っているということになりますし、技術部門の直接工数が高いということは売上の立つ仕事が十分にあることを意味します。

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 営業、技術とも直接工数が高い場合はプロジェクトが炎上していたり、詰まりすぎて営業も直接的な業務に引っ張られていることになりますし、営業の直接工数が高く、技術の直接工数が低い場合は、今は売上が立たないけどじきに立ってくることを示唆します。こういった状況がひと目でわかるようになったのも、きちんと登録して運用するというしくみができあがったからです。結局のところ、優れたデジタルツールがあってもデータを登録して運用できなければ費用対効果が出せないことに直結しますので、やはり、運用するためのしくみづくりが必要なんだと改めて感じます。

まとめ

【導入前】
1. 売上と利益の管理がおろそかになりがちだった。
2. エンジニアなど登録を行う側もプロジェクトの工数を意識して欲しいと考えていた。
3. システムの導入に伴い、面倒な登録を確実に行えるしくみを考える必要があった。

【導入後】
1. プロジェクトごとに売上と利益の可視化ができるようになっただけでなく、会社全体の健康状態も可視化できるようになった。
2. 登録する側も利益率を確認できるため、工数に対する意識が高くなった。
3. 他人が登録しないと自分の登録が行えないしくみと、他のシステムとの連携で登録の流れを簡素化したことで、確実にデータの登録がされるようになった。

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krakenimages on Unsplash

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