鳥取砂丘の少年たち
サラサラで、美しい鳥取砂丘の砂は、踏みしめても気持ちいい。
子どもらは、案の定わざと転んだりして、はしゃぐ。幼い孫にまとわりつかれている父は、童心にかえったような表情を浮かべる。
砂の丘を上りきると、見えなかった日本海が急に視界に入る。瀬戸内の海が原風景の私には、子どもの頃、これが、いちばん水平線に近い海だった。
子どもらは、海をめがけて走っていく。
用心深い上の子は、注意しながら。下の子は、年令と性格と相まって、転がるような勢いで。
それを追い越すほどの速度で跳ねている彼らの祖父。
下の子と同じ、男兄弟の一番下。同じ天真爛漫さ。同じアマノジャク。性格もしぐさも、まさに已己巳己(いこみき)。
上の子が後ろを向き、私の方に手を振る。待ってー、と叫んでやる。
でも、末っ子男子らは、ふり返りもせず、海に向かって、ただ駆けてゆく。