大阪の結婚式
進学で大阪に出た友人が、4年後に戻って来た。
卒業間近だった。教員採用試験に落ちていた彼女は、働きながら、次の年の試験を受けるつもりでいた。親に電話でそう告げた。結婚したい相手がいることも。その週末、連れ戻された。
結婚を考える相手は、職もあり、人品いやしからぬ人だった。でも、その人の国籍に両親は悲憤した。
実家を訪ねてきた相手の人は、門前払いされた。
彼女は、物事に動じない。動じても、見せない。
自分の親のことを淡々と語り、私の実家宛てに届く、その人からの手紙を、表情も変えず読んだ。
次の年、彼女は彼のいる大阪に戻った。2年後に結婚式を挙げた。
関西弁と岡山訛りの祝いのスピーチ。
事情を知る私たちは、二人が結婚式という色節を迎えられたことを、思うだけで涙が出た。
でも、彼女は涙を見せなかった。花嫁から両親への手紙も、滔々と読み上げ、ただ微笑んでいた。
祝福を受ける日だから。
もう枯れるほど泣いてきたのだから。