最後のパーティー

なんだ パーティーしているの?
花束を手に ドアをくぐると
そうなのよ の声と ウィンク

彼女のそばの花瓶には
サーモンピンクのバラがおどり
部屋は 春の花盛り

そうなの パーティーしてるのよ
入院と聞き 駆けつけた部屋の
お花畑で 彼女は笑う

鉢植えがあるのが 気になるけれど
米国だから きっといいんだ 
根つく とか 関係ない

あなたたち 
わたしのいちばん好きな人たちよ
優しくて 仕事もできて

半年前に退職するまで
毎日見せてた笑顔を浮かべ
彼女が わたしたちに言う

その上 しめきり守るし 
と 彼女が足すと
部屋のみんなが朗らかに笑う

あなたのおかげよ
わたしたちは重なる声で
歌うように 彼女に告げる

あなたがいてくれたから
ありがとう
ずっと今まで

さようならを言いながら
わたしは この人に 
また会えると思ってる

わかってるのに この人が
倒れて意識が戻った時に
病院でなく ホスピスを選んだことを

彼女の手を軽くにぎって
おだいじに って
病気見舞いじゃないのに

顔を半分隠すマスクが
今日は少しありがたい
わたしも笑顔で別れたい

落ち着いた声で
さようならとありがとうを言う
彼女のように
いつものように



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