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寿司嫌いの嘆き

往訪した先でお昼にお寿司が出た。てっきりお弁当の類だと思っていたのでお櫃の時点でビビり、蓋を開けて二度ビビった。

何をビビってるのかって、私は生魚がダメなので。アレルギーとかじゃなく単に好き嫌いなので回転寿司に行くと、とびっこ軍艦か煮あなごか茶碗蒸しを食べている。なんか生臭くて、口の中で風味を感じるとオエッとなる。

さらにワサビも食べられない。というかワサビなんて生魚食べる時くらいしか食卓に出現しないので、生魚を食べる習慣がない=ワサビに慣れていないのだ。

けど私は社会人だし、目の前には受注を狙いたい取引先のおじさんたちがいる訳で、出前取ってくれたのもその人たちな訳で、涼しい顔で(少なくとも私はそう思っている)完食した。寿司を食べ慣れてなくて箸でシャリ崩しまくったし受け皿的に添えた左手に醤油垂らしまくったけど、食べきった。

苦手なものを食べるコツはやはり息をなるべくしないこと。そしてあまり噛まない。この二点において私は高度なテクニックを持っている。好き嫌いが多いので。ただワサビの刺激だけは殺しきれず、人々の話に適当に相槌を打ちながら涙を堪えていた。鉄火巻きに異常にワサビ入ってる!

ふと思い出した。幼稚園の卒園式の日。お昼、ドラえもんが描かれたお弁当箱が配られて、なんだろー!とわくわくフタを開けたらお子様お寿司弁当だった。白白としたイカの光、まだ目に浮かぶ。あの失望感、そして気落ちしているのは私だけという孤独感。だって世の中の大抵の人は寿司が好きだから。

みんなが当たり前に好きなものを好きになれないのは苦しい。焼肉もダメだし。寿司、焼肉を嫌いな人いないでしょ!という相手の善意を受け取れないし、お店選びでは気を遣わせてしまう。

人間が向いてないかも! 来世は優しいお金持ちの飼い猫が良いよー。

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