見出し画像

文法指導のアイデア【瞬間英作】

 公立中学校で英語を教えています😌
 今回は、文法を指導するときに使える活動と使用するワークシートを紹介します。その名も『瞬間英作』です。新出文法・語法を徹底的に口頭練習して、頭に叩き込む活動です。

『瞬間英作』とは

サイドA(問題)
サイドB(解答)

①概要

内容:新しく学習する文法・語法の口頭練習(パターンプラクティス)
時間:10分程度
対象:全学年
準備:ワークシート(問題と解答が両面)
備考:特に語順を意識して教え込みたい場合に効果的。

②手順

①新しい文法・語法の導入
②導入例文の語句を入れ替えてどんどん口頭練習
ワークシートを使って瞬間英作
まとめを(解説、問題演習など)

③メリット

①テンポよく授業を進められる。飽きることなく集中力が持続する。
②生徒の英語使用量が増える(ただし、やり取りの要素は薄い)。
③スローラーナーにやさしい。学力支援を要する生徒でも取り組める。なんならイキイキとしている。全員が達成感を得られる。
④次回から復習にも使えるし、応用に発展もできる。

実践例(want 人 to do ~の場合)

①導入・口頭練習

 ⚠️今回の例は決して丁寧な導入じゃないです。使用場面・状況から入って、意味・形・用法に自然に気づかせる!なんてことはしていません。ゴリ押しです。ただ、いっつも時間をかけて丁寧な導入をする必要はないし、こんくらいさらっとやって、次の時間から何度も何度も繰り返し定着させていけばええじゃんって、思ってます。と、先に言い訳をしておきますね🙃

板書はこんな感じかなあ。

(「私は本を読みたい。」と事前に板書しておく。)
T: Everyone, please translate this Japanese into English.  Only in 10 seconds.  Ready…. Go!

 生徒はペアで答えを確認しあう。教師は単語のイニシャルを書くなど少しずつヒントを出していく。

T: Time is up.  Look.  The answer is "I want to read books." Say.
Ss: I want to read books.
T: Next. 「僕はテレビが見たい。」 Ready… Go!

 今度はいちいち板書せずに口頭で確認する。テンポよく次々に質問し、どんどん生徒を指名し答えさせていく。

T: Then, how about this?  What does this mean? Talk with your partner.
   (板書しておいた"I want you  to read books."を見せる。)

 適宜、Who will read books?などと聞いて気づかせる。気づいた生徒を指名し、全体で意味を確認する。「こんなふうに、want to の間に人が入ったら「その人にしてほしい」って意味になるんだね。」などとこの時点では簡単な確認程度に済ませておく。その後、youの部分を少し強調しながら2、3回音読する。

T: OK.  Let's practice.  I'll say Japanese, then you change it into English.
 僕は本を読みたい。
Ss: I want to read books.
T: 僕は君に本を読んでほしい。
Ss: I want you to read books.
T: 僕は君に本を買ってほしい。

  ・
  ・
  ・

 基本となるモデル文から部分的に語句を変えて、それを英語にして口頭でどんどん言わせる。スローラーナーがギリギリついてこれるくらいのテンポで。

T: Do Janken with your partner.  Winners, you are a teacher.  Please give your partner a question like I did.  When you finish, change your roles.

 導入の最後に、ペアで自由に問題を出し合わせる。スローラーナーのためにも、黒板のモデルを読めばいいと伝える。教師はこの間に瞬間英作用のワークシートを配布しておくことで、ワークシートが手元に来るまでの無駄な空白の時間がなくなる。(iPadなどのICT環境が整っている場合はそれで送る。)


②瞬間英作(メイン活動)

問題(①から④にかけて段階的に難易度を上げている)

T: Look at A side.  There are four pictures.  Please change these Japanese into English.  You can help each other.

 プリントで配布する場合はペアで1枚配る。指示の後、表面(A面:問題)を見て、ペアで交互に英語で言うとこうなるかなあと確認させる。終わったペア&お手上げのペアは裏面(B面:解答)を見ていいと伝える。

解答

T: Look at B-side.  Repeat after me. I want you~.
Ss: I want you ~.
   ・
   ・
   ・
T: Then, do janken with your 横partner. Winners, you're a teacher and pick one picture.  Losers, you're a student. Try to translate the Japanese.  You have only 5 seconds.  Ready… Go!

 答えを確認して音読練習を数回した後は、日本語を瞬間的に英語に直せるレベルまで練習する。ペアを次々に変えてどんどん練習する。ポイントは、活動に変化をもたらすことで飽きさせず活動に集中させること。変化は大きく2種類。

◆活動形態の変化
□ 全体練習後のペア活動において、横、縦、斜めとペアが変わっていく。
□ 時間があるときには、教室を歩き回って自由にペアを組ませる。
 「3人と練習できた人から終わり」などと伝えることもある。
□ また、歩き回りのときは、「男女それぞれ2人と練習する」なども。

難易度の変化
□ ワークシートに載せる写真の枚数をクラスの実態に合わせて調整する。
□ 制限時間を短くしていく(最終的には、瞬間的な英作を目指す)。
□ 答える問題の数を増やしていく。
(例)横パートナーとは互いに1問ずつ、縦パートナーとは2問ずつ、斜めパートナーとは3問ずつした後で、「最後にもう一度横パートナーとします。が、交代は無し。負けた人だけが8問問題を出されます。魂のジャンケン、スタート!」なんて言うと、中3でも発狂する笑

③まとめ

 まとめはいくつかパターンがありますが、基本的には「解説→問題を解く」。
 下の写真(want 人 to ~のプリントが行方不明なので別プリ😓)の□の中を使って解説し、問題に取り組ませます。答えを黒板に貼っておき、「このプリントが終わって答え合わせをした人から今日は授業終わっていいよ。」と伝えています。自分達のペースで取り組ませるのです。教師は机間巡視でスローラーナーの支援。

 ちなみに、このまとめのプリントはもちろん、そもそも瞬間英作に使うワークシートに載せる英語も実は適当に選んではいません。教科書やワークブック、県下共通のプリントなど、今後生徒がどこかで出会うことになる英語を事前に調べておきしれっと入れておくんです。

生徒:「あれ?この問題どっかで見たな。どこやったっけ?まあ、思い出せんけど解けたぞ!やった!」
っていうのをねらっているんです。

④『問題解いて終わりってどうなの?』

 よく、「自己表現までしないのか」、「新出表現を使ったやり取りの場面がないのではないか」と言われます。が、導入→理解→練習→表現までの流れを1時間で一気に終わらせるのはスローラーナーにはキツい。よって、僕はしません。

 もちろん、最終的にはその単元(ユニット)で学習した表現を使って、パフォーマンスはしてもらいますが、それを無理に1時間完結にしなくてもいいでしょう。何時間もかけて、少しずつ、繰り返し練習して、最終的に表現できたらええじゃないか。というスタンスでやっています。

単元の最後にできてたらええじゃないか!

 1時間で無理やり自己表現までいって、できる子だけが喜んで、できる子ができるようになっていないのは、英語力の二極化を進めるだけです。

 それよりも、練習で終わらせて最後に問題を解かせます。問題は今さっきまで何度も練習した文の一部語句を、すこ〜〜しだけ変えたもので、なおかつ取り組みやすい語順問題にしているので、必ず全員が◯がついて終わります。ここもポイントです。全員が達成感を感じながら授業が終わるのです。

 もちろん、まとめプリントの問題がはやく終わった生徒(英語が得意な生徒)はプラスαの課題(ワークブックや宿題、パフォーマンステストの準備など)に取り組むよう事前に伝えておかねばなりませんが。


おわりに

 今回は文法指導の際に僕がたまに使っている「瞬間英作」を紹介しました。ここまで読んでくださった方はもうバレたでしょうが、決して真新しいものではありません。なんてことはない単なるパターンプラクティスです。でもやっぱり、地道な練習をいかに飽きさせずに、これでもか!ってくらい取り組ませるか、ですよね。

 新出文法・語法を、シンプル&徹底的に練習するためのアイデアですが、効果はあります。ぜひ一度はお試しあれ!それでは、また👋

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?