自由進度学習と英語授業❸(単語学習 後編)
公立中学校で英語を教えています😌
自由進度学習を取り入れた英語授業パート❸ということで、今回は単語学習についてさらに具体的に紹介します。前回の記事をお読みになられていない方は、こちらからどうぞ。
単語学習の流れ、教師の指示
単語学習の具体的な流れ、どのような指示を出すか説明します。なお、単語学習には10分程度時間を使います。
単語学習指導の流れ
①単語の発音を全体(またはペア)で練習(1分)
新しい単元に入ってすぐは、全体でゆっくり発音の確認。1時、2時、3時、4時、、、と授業が進むにつれて発音練習にかける時間は短くしていきます。まずは全員が新出単語全てを正確に発音できるように。
②ペアで段階別に単語テストする(2分)
発音ができるようになってくると英⇨日、日⇨英の訓練もしていきます。全体での発音練習がほぼできるようになったところで、ペアで好きな練習をさせ合います。
教室内では、例えばこんな会話が起こります。
A: 「なあ、発音合っとるかどうか聞いてよ。」
B: 「ええで。俺の時は日本語言ってな。英語に直
していくから、合っとるかチェックして。」
③各自テストを受ける(残り時間)
4段階別にテストを受けます。
発音テスト ⇨ 教師のところへ
英⇨日、日⇨英テスト ⇨ QRコードからGoogleフォームへ
スペリングテスト ⇨ プリントに書く
教師の指示
①教師「Repeat. "legacy"」 ⇨ 生徒「"legacy"」
(全て繰り返させる。テンポよく。)
教師「Make pairs with 横 partner. Do Janken.」
「Winners, you're teachers.
Please check your partner's pronunciation.」
(時間で区切り交代)
(発音練習を初めてするときはゆっくり。以降はさっさと終わらせ、単元の最後
の方はいきなりペアでチェックさせる。)
②教師「Make pairs with 縦partner. Do Janken.」
「Winners, you're teachers. Please help your partners.」
「Losers, tell your partner what you want to do.」
(生徒は「発音チェックして〜」などとチェックしてほしいものを伝える。)
(時間で区切り交代)
③教師「OK. Let's start the tests. Are you ready?」
(生徒は自分の受けたいテストに向けて動き出します。)
単語学習におけるこだわりポイント
単語学習へのこだわりポイントは以下の4点です。
① 1ページ毎ではなく、ユニット単位毎に単語学習を進める。
(「7単語ずつ」ではなく「50単語くらいをどかっと一気に」)
② 全員一律の単語学習ではない ⇨ 個別最適な学習へ
③ 4段階別に単語学習に取り組ませている。
④ 4段階全てにおいて、生徒一人ひとりを個別チェック&指導している。
(しているというか、5〜10分以内にできるようにする。)
①ユニット単位での単語指導
教師によっては、本文を扱う日にそのページの単語だけを導入し練習させる人もいると思いますが、僕の場合はまとめてどかっと一気にやります。
例えばそのユニットで新出語が50あれば、それをリストにして配布。そのユニットの授業をする2〜3週間毎日50語の単語学習をします。メリットは以下の2点です。
メリット1:覚えやすい
今日は5単語。明日は別の5単語。その次はまた別の5単語…って覚えていっても、最後の5単語をやるときには最初の5単語は覚えていないかもしれない。一気にどかっと扱って、2〜3週間何度も繰り返し読んで聞いて声に出して書いて。その方が定着率は高いです。
メリット2:本文理解時に役立つ
同ユニット内で出てくる新出語をどんどん先に習っているので、本文を読む頃にはその単語の発音・意味は頭にある程度入っているわけです。英語に苦手意識がある子でも「あ!この単語この前覚えたな。確か◯◯って意味だった。ってことは💡」とストレスが軽減されて少しでも読んでみようかなという気持ちになります(意味はもちろん、発音すらわからない単語だらけの文章は読みたくないです)。
②全員一律の学習ではない ⇨ 個別最適な学習へ
単語学習指導の流れの途中から、生徒の単語学習の個人差・自由度が高くなります。最後のテストの時間に関しては、完全自由進度学習です。
これによって、英語が得意な生徒は、どんどん先に進めます。他の子に進度を合わせる必要がないからです。また英語が苦手な生徒も、自分のペースでゆっくりと、でも着実に単語学習に向き合えます。
③4段階別単語学習
すでに説明した通り、4段階に目標を分けています。第2言語習得理論に基づき、音声から始めてようやく最後に書く。そのプロセスを子どもたちに提示しています。
英語を苦手とする多くの生徒は、「どうやって単語覚えたらいいん?」と聞いてきます。実際、発音もよく分からない単語をいきなりノートに何度も書きなぐるという「やみくもな努力、暴挙」に膨大な時間を費やし、「学習した気分になって」、しかしその実何も覚えられておらず、ますます英語が嫌いになるという生徒は少なくないです。その子たちのために、単語の学び方はこの手順だよと教えてあげたいのです。
④生徒一人ひとりを個別チェック&指導
みなさんは普段ご自身の生徒を、一対一で個別指導していますか?生徒の発音を個別指導していますか?さらに言うと、毎時間できていますか?50分しかない授業で、難しいかもしれません。
でも理想は、毎時間一人ひとりみてあげたいものです。単語の発音、音読、表現…。一人ひとりを見て、聞いて、評価して、アドバイスして、そして何より褒めてあげたい。そんな思いが僕の中には強くありました。そこで取り入れたのが自由進度学習の考え方でした。(*詳しくはまた今度!)
単語学習の最後は自由進度で受けたいテストを受けます。特に発音に関しては厳しくチェックします。全体で説明&リピートさせ、ペアで何度も練習しても、発音ができていないといったことが教室では多々あります。
僕自身の発音は自慢できるようなものではありませんが、ポイントをおさえて正しく発音できているはずです(毎ユニットALTに聞いてもらっています)。でも、できていない生徒がいる。当たり前です。一人ひとり声の聞こえ方(聴覚刺激の受け取り方)が違うからです。だからこそ、一人ひとり丁寧にみていきます。ALTが来れる日は手伝ってもらうことも。
もう一度お尋ねします。皆さんは生徒一人ひとりの発音を個別チェック&指導していますか?本当に皆さんの生徒は、一人残らず、正しく英単語が読めていますか?どのくらい読めて、どのくらい読めないのか、把握していらっしゃいますか?
終わりに
あらためて単語学習指導の流れをまとめると、
①その単元(ユニット)で出てくる新出語句全てを、クラス全体で発音練習。
②ペアで自由練習時間。
③一人ひとりが好きな【発音、英⇨日、日⇨英、スペリング】テストを受ける。
以上の流れを毎授業の最初10分間で行います。単元(ユニット)の最後の方には、スローラーナーも含めて全員が、単語を読める・意味がわかる・英語を思い出せる・書けるレベルまで持っていきます。
今日は授業内での単語学習の流れ&教師の指示、そして単語学習への僕のこだわりを紹介しました。細かいところを含めてすべてを書ききったわけでないのですが、概要は何となく伝わったでしょうか。
次回は「一斉授業」の中身について説明したいと思います。では、また😌
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